稜線を白く縁取る遠き峰 オリンピックに夏空の青
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「深夜って何時までなの?」「そんな事考えないでいられるまでよ」
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えらいので 明日のわたしのためだけに サンドイッチを作っておきます
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ジュリエット 私をその名で 呼ばないで あなたのそばに 永遠にいたくて
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「長野はさ、りんごがおいしい?」シードルのコルク抜きつつ反芻する夜
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瞳から光が消える瞬間の冷たい情熱分けてください
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少しだけ肉感が去るほっぺたに君が大人になる夏を見た
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いとしさは並んで食べるトーストのぽろぽろ落ちるかけらのごとく
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暑い日にみぞれ蕎麦食べ おろし金 どう洗うんだ 手が血まみれに
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少年が少年時代を守るため放つ矢、たやすく折られ八月
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「有休」と打ち込んだ文字「悠久」と変換されて揺蕩たゆたう指先
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貝殻を右耳にあてる 人はみな背骨に海を記憶している
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どれだけ息を殺してもとなりあう僕たちに響く不協和音
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心がもう こんなに傷ついてんだから 身体のほうも、おんなじくらい、
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この夏をじゅうななという年齢で割った余りのようなカルピス
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ただここに私の歪みだけがあり祈りでもなく言葉でもなく
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過ぎし日が積み重なって山となり川を伝って海へと至る
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雪を噛む確実に噛む靴裏がスノーシューってこんなに楽し
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麻酔明け目覚める先に覗く顔会えて良かったまだまだ逝かぬ
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使命感それを背負いて火に向かう我が長男に男気のあり
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青空の遠くと近くに白い線機影なき跡轟音の聞く
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伏せし父見舞い叶わぬこの時節せめて届けとシアトルより書く
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遠足の前夜に似たる急く心明日の今には山裾の町
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庭の隅一雨浴びた紫陽花のグラデーションに磨きがかかり
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君が見る 今宵満月 僕も見る たたずむ大地も 君へと続く
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‪心にも体にもいいものは無いフィルター越しに深呼吸する‬
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あなたとは、時空を越えて巡り合う約束されたわたしのすべて
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‪「あのひとに電話をかけて」「すみません」ありがとうSiri、まだ正気だよ‬
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この口をついて出るのはみんな嘘『あなたが欲しい花いちもんめ』
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ひととして喜怒哀楽で表せぬ感情だけを抱えて生きる
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