夏の陽にゆるゆる溶けていくのなら君が舐め取るアイスがよかった
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弱い僕 あの痩せた猫が 横たわる いつもの道を 通れないんだ
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明日からは泣かずに生きていけそうだ台風一過のしたたかな青
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ダメダメでごめんね、私生きるのがどうにも下手だ。死ぬのも下手だ。
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すぐにまた 会えるのになぜ 泣いてるの 郷里へ向かう ホームで君は
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「死にたい」は言っちゃだめかな、じゃあえっと、「能登に行きたい」ならどうですか
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伽藍堂へせいぜい時を凍たみたいな今よりもっと感情制限
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雨雲がピンポイントで襲い来る落ちてくるのはバケツの水か
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ピンヒールで階段登る足首を飾るアンクルベルトの余裕
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人類が抱く悩みの四割は お湯に浸せばやわらかくなる
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ウィンナーに スキの二文字を 刻んでる 君の笑顔を 想って食べるね
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弱いとこ狡いところを愛してるおまえだけだと言ってください
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『あと2分お待ちください たましいのインストールが未完了です』
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唇に 初めて触れた 雨の夜 恋から愛に 変わった瞬間
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夜明け前推ししか勝たんと呟いてその一言が遺言になる
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ゲーム機とスマホのコードを半径に描くベン図が「わたし」の定義
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「スピーカーミュートにするね」ミュートとはミュータントの意 神への冒涜
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Zoomには今日も社会に活けじめにされた学生が陳列される
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オートバイ 背中に君を 感じつつ フルスロットルで 二人の世界
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ハンカチが 別れの意味と 知らなくて プレゼントして 悩ませごめん
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星空をグラスに閉じ込めたようなソーダをぶちまけたような星空
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雑踏に 君の姿を 見つけると 僕の心は 青空になる
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海ばかり描いているから青の名前ならばたくさん覚えているよ
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満月を卵液に浸し焼いていく職人住まう真夜中キネマ
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コーヒーの温度は低い方がいい 彼に噛まれたばかりですので
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ぼくたちの魂の凹凸かたちぴたりとは重ならないから隙間で踊る
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愛なんてそんなものだとあなた言いそんなばかなとわたしはじめて
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大好きな君の名前をこの夏の季語にするにはどうしたらいい?
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僕の目を 見続けている その意味は 好きなんですの サインなのかな
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バス停で 振り向きざまに お辞儀して 優しく笑って 僕を射た君
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