雨の日の 僕の車の 助手席に オンナがいるって乗っていません 言うなよ、ヒロちゃんいるはずがない
1
春うらら日向に伸びる猫を撫ぜ和毛にかおるほこり吸い込む
4
概念を撃ったが個体くらいしか死ななかったという事例集
0
雨の日は死んだ人間の呼び声に返事をしてもよいこととする
1
昼下がりあなたを突き刺す彼女の目僕はタバコを吸うフリをする
0
「あの時は楽しかったね」「そうだよね」君とおんなじ記憶持ってる
1
〝ひとりでも歩ける〞と言う 君のこと 誇らしくって、すこしさみしい
3
「今日は」と笑顔で挨拶すれば 「今日は」と笑って頭を軽く下げてくれて ーー今日は笑顔の一日でありますように!
2
似合うからと母が買ってくれる服どれもこれもがわんぱくな服
5
曇天に霞む桜の花びらの脇の緑が主役の気温
1
本当に願うことだけ叶わない 悪い夢だわ人生なんて
1
カキクケコ 君のカ行の発音は 波の音にも負けずに響く
1
I don’t wanna work 僕らは消費されている 定時で帰ることはほぼない
0
毛玉取る洗濯する干す畳む寝る起きる歯磨く味噌汁を飲む
1
意地悪く笑うマスクと緩む目に吸われる魂それは空洞
1
僕らしか知らない屋根の雀の巣百年経っても無くならない
2
大人とは理想気体のようだねと 相談室であの子は言った
2
スーツ捨て車に乗って北へ行く青函トンネル耐えられるかな
1
街灯をスポットライトに変えながら 歌うは調子外れの独奏歌アリア
0
指の先でゴミになったコンタクトレンズに少し愛着がわく
0
見切り品のいちごを買ったあの夜はきっと誰より幸せだった
1
いや、王よ、殺したいのは別にそのあんたっつう人間じゃないんだ
1
このごろの 僕の心は 桜のよう 散っても再び 風に舞いたい
1
君の目を ひそかに溶かしこんだため 今日の夜空は あんなにきれい
2
新しい ペンが欲しいの 空色の 君に書きたい 手紙のために
2
身を投げて この歌さえ、と、君さえ、と のぞんでもなお 届かぬままで
0
君の声、君の声だけを 聞きたくて そいつ以外はなんにもいらない
2
幻想を見すぎて逆に現実を見つめ返せば新鮮すぎて
1
昼寝から起きた時には夕方にこうして季節は変わっていくわ
2
そうね今好きか嫌いか聞かれたら夕暮れだから好きと答える
1