額の目が雑多を超えて追っている寝癖のついたままのうちの子
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カーテンが雪と冷たい風招きあわててお供してきた朝陽
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抱っこしたミィとくちづけした今は世界平和も望めてしまう
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「人生は暇潰しだよ死ぬまでの」鼻腔ひろげて言う話かね
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紫に 染まりて淋し 黄昏たそがれよ この身ぞ悔いて 幽玄有限の刻
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銀河系 何光年の 旅路たびじつき 今だ届かず まばゆい光
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舌の根も乾かぬうちに語りだす君の薄くてきれいなことば
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ごめんねは言えないくせに花束を買ってくるのは平気なのかよ
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ありがとうって言ってくれないのにケーキ買ってくるから怒れないじゃん
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君の目の奥で光ったきらめきに消えない明けの明星を見る
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生きていることがある種の病気ならそのうち死んで治るので待て
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プリントを回す時手だけじゃなくてこっちを向いて渡す彼が良い
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友よまた青春の若き日のように共に歌おうBorn This Way
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行間も空気も読めず傷ついた次はもうない我に幸あれ
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剥製のような星です白い月が欠けて夕陽を呼んでいる
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今までに住んだ街の名記憶するクリーニングのカラフルなタグ
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亡骸になってもきっといつまでも歌っているし愛してほしい
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殴ったり撫でたりできない位置にまで離れてようやく対話ができる
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鬱々とうつむく僕の真上にもふたご座流星群のきらめき
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貞子さんナイスカムバック一郎我に返りすみません生二つ
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ぼくの「おはよう」と あなたの「おはよう」は 価値が違うと気付いた夜更け
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生きるべきあなたよ どうか 末永く 春に咲く花の名を教えて
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許したくないことばかり増えてゆく 冬でも汗ばむほどの電車で
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ぎゅうぎゅうの地下鉄で鳴り響く固定電話の音だ ご注意ください
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ぬいぐるみと話せる人の輪郭は人と交わる人よりも濃い
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ひさかたの 月の蒼し 上弦 吐く息さえも 銀色ぎんいろ染めて
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寒空に 貴方言いせし 『ずっと待つ』 君の想いに 我応えたい
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てらう 何がたのしき あばずれよ 愛別離苦あいべつりくも 知らないくせに
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遠春えんしゅん 淡い夕暮れ もも染まる 桜木の下 思いを馳せる
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二十年 たっても忘れぬ 駄菓子屋で 君としたキスは マスカット味
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