沙汰止みていつもの布団に入る夜 キャリーケースは荷解かれないまま
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熊よけの電気が走るフェンス超えしなやかに巻く黄緑の蔦
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布団から出たつま先がヒンヤリと夜の機嫌を教えてくれる
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きっとただ ただ 運命の神様も その時少し疲れてたんだ
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スーパーにたどり着けずにコンビニで弁当買って帰る花冷え
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愛がよく分からないのでティラミスを買った 寄り道はまだしないよ
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ふらふらと遠くに行ってしまう人 春とか戦時とかには多い
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眠い目を擦りあの人待つ時間 幸福に萌え夢見心地よ
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なんかもう死んでもいいか 空色のタオルについた星くずくずくず
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夜桜が白いもこもこにしか見えず こころを亡くす字が腑に落ちる
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「その笑顔ホンモノですか?」と 問うたらば、この問いも「マジなのか?」 と問うてみたい
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T.Mの Revolutionの イメージは 拭いきれない 消臭力
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堕ちた先 それが黒い 闇ならば いっそ浸かれば またそれも人生
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堕ちていく 堕ちてる自分に 気がついた それでも堕ちる 任せるままに
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「ほんとかな ほんとかな」今夜 七時半 夕休みしつつ 明日の夢想
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堕落した 今の生活やめちゃうと 自分で自分を捨てちゃう気がした
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この春に 卒業します コタツから 卒業論文 「みかんの早剥き」
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おもてうら どっちも本音さ 君にだけ 起きても醒めない 愛を夢見よう
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花も木も生々しいがカメラにも血液だとか、通ってないよな
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桜さくらしらない間に散るように他人のままでサヨナラしましょう
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トリミングする隙が無いのは満開の桜だからかいや腕のせい
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坂道を 自転車乗り 桜見る 寒さに負けず つぼみ色ずく
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この人も濡れた臓器がこぼれない位置で手を組み挨拶をした
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「大丈夫むせただけです」早口な君におどけて言う大丈夫
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前髪を1ミリ直す我が息子後頭部の毛寝癖のまんま
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階段と風呂場と居間に手すり付けほっとしたのは父よりわたし
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出来るなら奪いたかった東京へ旅立つ君の学割切符を
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信じても信じなくても咲いてますみたいな桜で言語が狂う
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無心になると機械になるとは違うのだと見上げれば桜が満開で
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純粋さがうらやましかった、でも君は彼らの射程圏内だった
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