Utakata
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北帰行 迫る湖 白鳥は不在でいつものカモばかりだね
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これで終わりの話するとき 的確に鳴くファンヒーター 三時間延長
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果たされぬ約束ばかりがここにある 大事に握って固まった指
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やめなよと 体に毒よと 言う君よ でもゆるやかに消えたいんだよ
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天体が重なる空は 雨雲のベールをかけて 秘密を隠す
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柿に穴 齧った虫よ満腹か 今夜の寒さは耐えられそうか
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世界から見失われて夜ひとり 煙草の
煙
(
けぶ
)
も消す 秋時雨
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落ちた実の渋にまみれて果肉食む 蜂が一匹 生あればこそ
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イヤホンを分けてふたりで聞いた曲 共有プレイリストの二番目
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右肩でススキの綿毛が揺れていて頬の産毛と光に溶ける
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あてどなくさまよい歩く僕たちに止まり木のごとく優しいコンビニ
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申し訳御座いません、と項垂れて パチン爪切る君はしたたか
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イチジクの柔い果実を割り開く 貝殻の爪は同じ
濃紅
(
こきべに
)
2
カーナビに
行方
(
ゆくえ
)
を
委
(
ゆだ
)
ねて僕たちは迂回の看板ひとつで惑う
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僕ですら呆れるほどのつたなさをかわいいと言うランドセルの君
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書き溜めたレシピの一番下にある ねずみのカステラ やまなしの酒
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交通系
I
C
使えぬ
故郷
(
ふるさと
)
の駅は無人になったそうだよ
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隣家から響くピアノの音に揺られ 橙色の星降らす枝
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あたたかい布団のなかで丸くなる役に任ずる 励めよ子猫
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蝋紙に露とペガスス座を包み 夜長にしゃくり 齧ればほぼ梨
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稲わらとよく似た色の犬の目に映る 実りの先に雪原
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大丈夫 迎えはいらない ストリートビューで何度も歩いたからね
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麻雀も 煙草も 酒も 体温も いつか去るなら教えるなよな
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蜘蛛の巣にかかったトンボが消えている 逃げ果せたか苦界の外に
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よそゆきの着る宛てのないワンピース 日々降り積もる澱を濾す布
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三日月の欠けた部分が見えたから 値引きのみたらし これもください
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在りし日の君が好むか知らぬまま 輝く名を持つ葡萄を洗う
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