ごみ箱に捨てられていた悲しいをちくちく縫って補修する夜
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鰯なら買うことできる食えもする食わない人がいるのが困る
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位相幾何 かご中のとり そとのわれ ほんとうは わたしとうちゅうが かごのなか。
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星空に子らの幸せ祈る母 気持ちを抱きしめ私は生きる
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平凡な 日常のなか 「君」が来た 全て変わった 閃光のよう
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認知して くれてありがと 俺の子を あなたが父だ 彼女子を頼む
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ナデシコが 蝶に見えたと 娘が言う 求めよ、さらば 大和撫子
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自分の詩 読み返えすたび 思い知る 壊心こころの叫び 君への思い
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湯たんぽも靴下もはかず眠る夜に春も越えつつあると気がつく
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窓ぎわの工事の音で目が覚める 怠惰な自分部屋に隠して
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ごはんなに?煮たの焼いたの和えたもの名前つければりっぱなおかず
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スマホでは思い通りに撮れないし指知る触の感欲しき夕
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関連はないと言うけど実際はあと一二箇所突けば沈む
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陰ながら雑用こなす君が好き 月が放つひかりのようで
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ちょっとナメられるくらいが生きやすく今日の歩数を手帳に刻む
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花金はなきん」はもう死語となる フィーバーなくてもウキウキ金曜の夜
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初デート なになにこれは? どう飲むの? 頬染ほほそめ聞けない ウィンナーコーヒー
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墓石の代わりのようにおごそかにダイワハウスの旗はゆらめく
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いつのまに陽は落ちていて酒場から聞こえ始めるホンキー・トンク
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僕らみな墓標となりて茫洋と菩薩のような盆暮れの海
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見渡せば こたつ・ストーブ・扇風機 冬と夏とが 同居する部屋
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料理時りょうりどき懐メロ流すルーティン 今日はノリノリ 「レベッカ・フレンズ」
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わかり合えないまま共に生きることをわたし達の証明とする
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生きてると笑い声すら恐ろしくヒトとはなにか未だ解らず
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さよならは言うよ一人でいる時も さよならシュレディンガーの恋人
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金曜の 待合室に 響く声 マイキャッツよ 静粛たれ
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バイト先「あっ先生」と声を聞く いつも頼ってくれてありがとう
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ひとはよく「急がば回れ」と言われるが スイーツ目当てで急ぐはよろし
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かなわないお願いばかり聞いていた神社の隅の古い街灯
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この風は淡くてうすい紫陽花の水色こえて髪をそよがす
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