価値が無いように思える私でも 多少の需要はあるはずなんだ
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窓見れば気がついたよう降り出した ダイヤモンドの声がケラケラ
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正しくて生きづらそうで惹かれたな流れたマスカラ夏のせいだと
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醜悪な萌え木の匂いもう消えて公園は死体スキップでゆく
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皇女ひめたずね師とともに来し猪養の岡 雨後のぬかるみ墓前に立てず
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籠入らずの玉が梅干しのようだから涼やかな笑みへ擲果 あまくなれ
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今はただ想いを馳せる明日香里 古き御寺みてらや貴き御陵みささぎ
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へんしんのまほうは使えないけれど夢とわたしをつなぐロッカー
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悠久のドルマンスリーブなびかせて 唇は吽 遮光器土偶
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ティシャツ をじとりと濡らすこの頃はひと夜ひと夜にひとみごろ。初夏
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「マジで好き」と私に言う君の マジは本気マジと捉えていいの?
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ずるい大人の僕だからお酒にとかして好きを伝える
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雨傘をかたむけきみは目を閉じて胸にある詩の芽に水をやる
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「失恋しても腹は減る」 僕が論文書いたっていい
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サービスのつもりだろうか淋しさと影を夕日は大盛りにして
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電車内うつむく人々みんなそう お疲れ様とバイバイできない
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 初夏ノ風 桃色躑躅(つつじ) ソノ中ノ 綿毛蒲公英(たんぽぽ) 揺ラサレテ
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あの森の心は孤独な狩人の大きな軍手に私はなりたい
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自分さえ触れられぬよう閉め切った深い場所から涙は溢れる
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 八雲立ツ ヤフナ山垣 打チ壊シ ぱねるヲ貼ルヤ 倭ノ初夏ニ
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きみってさ、なんだか雑草みたいだなぁ 心の隙間に根を張るもので
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「きみってさ、なんだか雑草みたいだなぁ」 私は強いが、言葉選びよ
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諦めを濾過して取り出した結晶を「優しい」なんて言わないで
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人知れず秒針の駆け上がる音時刻の襟を正す怪談
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強くなりたくて 海の横で生きる猫を手本に平日の昼間が過ぎる
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雨の日の空 青が見たければ描き分ければ良い どうせ同じ青
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ひとりが好きだと言ったあなたの すぐ側にあるスマートフォン
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あなたの息継ぎになりたい  そう思って勢いよく綴じた栞
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慈しむ たったの線の一本を正しく記した男子、あのとき、
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本館を削ぎ落とし建つ東館に日焼け止めでも塗ってあげたい
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