あの頃は我にとっても毎日が母の日なりし子の背をさする
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仏壇に真白な百合とパンと菓子 母が供える祖母二人分
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孫の手と花に頼った母の日は特別なこと何も語らず
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下の子がズボンばかりを下げてくる 開き直ってパンツで過ごす
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ペチュニアとトマトキュウリの苗を植え玄関先で夏を待ってる
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チャリンコは うごいていれば たおれない 慣性の法則 相対速度ゼロでもそうか?
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雨の中 マリーゴールド 見て歌い 気分上げつつ 駅へと向かう
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久に会う媼三人はハグののち時を埋めんとお喋り尽きず
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あの頃は吾子にとっては毎日が母の日なりし首に回す手
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終わりへの道筋がバレないように目隠しをするようだデエビゴ
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母の日に いつもながらの プレゼント 洋菓子店の マロンモンブラン
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またしても 締め切り迎え 大慌て モンエナ飲んで 突貫工事
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キラキラと降る紫の雨の中 駆けた先には何が見えるか
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きらめきは網膜の裏に手のひらに 黒板アートを一息に消す
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そうやってまた僕のこと惑わせて、期待させといて落とさないで
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君の言う「好き」は僕とは違うって、わかってるけど期待しちゃうじゃん
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生ハムを巻きて葉巻の振りをして齧りてウヰスキをクピリとす
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柔らかい わたしの頬をひとつねり それから あなたはさよなら告げた
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髪を撫で頬を撫でれば笑うキミ今日も何処かで年下が死ぬ
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揚雲雀あげひばり 見上げる空が 眩しくて 聞こえているか くしゃみ三回
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降り頻る君の涙を肩に受く 白き小壺よ静かに眠れ
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天孫の降りし大地に神宿る包み込まれて霧島は雨
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本人と書いたたすきを掛けたまま無言でじっとこちらを見てる
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他愛ないお喋りたちは散り泥み心に積もるふかふかな土
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「ほんとうのこと」という比喩。むきだしの「まこと」から目をそむけるための
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あれ程に思いつのらせ小細工をめぐらせたなど風の夜の夢
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「母の日ってもう過ぎてたの?」を繰り返す そんな息子かれからのプレ 息子よ、どうした?
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「カーネーションありきたりだし新作のスイーツなんて喜びますよ。」
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午後になりそらまんてんの青空に 天気予報のうれしき誤算
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レジ前で「母の日ですね。」呆然と動きが止まるバイトのパパさん
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