僕などが 声を枯らして叫んでも きっと傷ひとつつけられぬだろう
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イナビカリ!せめて鏡の世界なら、行け、あの棺のもとへと走れ
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やわらかい猫、人の手に撫でられる日々をその身に知っている猫
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すすきが言う「夜はすぐそこ汽車の音聞こえたらもう滑り込んでゐる」
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嗚呼あれはみな愛だつた あのひとの背中はとほく夕の秋桜
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ゴミ箱のナイフを拾い撫でる頬 そんなものよね私の感傷
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鳩の鳴くリズムに昔の恋心重ねて微笑む黄色い帽子
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休憩所 空席一つ入れない 私の席じゃないと知ってる
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「君のこと 今日は想わなかったな」と 想っていたよ 君のとりこ
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くしゃくしゃになったおりがみもう元に戻らないけど戻らなくても
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‪LINEでの名前が記号だけの子が何人もいてまた増えていて‬
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汗ばんで可愛くないと思うからかえって発想が北斗七星
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空が澄みキレイな光ふりそそぐキラキラとしたトリガーを引く
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天井の壁の柱の玄関の木目が見てる石になるのを
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どうしてもやる気の出ない昼下がり勝負パンツに履き替えてみる
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今日もまた アイツに好きと 言えぬまま カラオケ行って デュエットしてる
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不安定 季節変わり目 空さんも 心の波の 変動多し
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飛び降りるわけじゃないのだ大空に羽ばたきたくて 羽が欲しくて
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朝摘みの 花をあなたに 届けます 仏壇の前 朝の挨拶
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みんなには含まれてないこともある透明になるまで灰汁を取る
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すこしだけ遠くへ行ってみたかった裏切るつもりなんてなかった
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ひとつだけ嘘をつきますひとつだけ嘘をつくというのは嘘です
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日曜日 ほんとは嬉しいはずなのに 家事と仕事で 休む暇なし
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どろどろとした感情も短歌では綺麗になるのでとても不愉快
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桜色 水面に浮かぶ 恋心 人の心は 淡く儚く
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辞書にない言葉はなかったことになる あのとき聞いた美しい響き
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好きなもの好きだと言えるその口の「すき」の動きが何よりも好き
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真っ暗な水面みなもの上を一筋の波紋ひろがるきみは無垢です
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終電や付かず離れず吊革が揺れる 自由なふりをするなよ
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声甘く今夜は君と長電話 外のあけびも雨も静かに
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