「巫山戯るな」「悪趣味な奴」「冒瀆だ」優美な鳥の籠の中から
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酔い回り 行き着く先は どこへやら 考えたとて いつもと一緒君とのLINE画面
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雨粒か雨滴それとも雨垂れか飴を転がす音に似ている
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白いろをミルクいろって呼んでたねやさしいきみをココアに溶かす
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あひるの子浮かぶ水面に蓮の花 飛び立つ朝の彩度はおなじ
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若年性青い鳥症候群として産声は夜明けを裂きぬ
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声なんてもう要らないよ 君にだけ届けばいいと思ってたから
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おとといの夜にあなたを知ってからずっと左の小指が痛い
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記念日は記念碑じゃないと知っている不可視の苺ケーキが、酷だな
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ひたすらに 横顔きれいな人でした 僕はそれしか知らなかったけど
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波のように電車に揺られ帰りゆく沈む夕日が秋を告げおり
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悲しみは肺と連動するという 声を出せない僕ら、ひそかに
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ぐちゃぐちゃにぐるぐる回る 煮詰めすぎ濁ったジャムと脳味噌の中
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金曜を咲かせるための腐葉土として横たわる僕ら店員
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この地球青いまんまでいるならば僕ら幸せだと決めつけよ
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ひたすらにただ泣くことにも疲れたら温かいうどん食べて眠ろう
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「この手紙、遺書みたいだ」と笑ってた その声で生きようと思った
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墓石に触れあたたかさを感じるなんてこんなの裏切りじゃないか
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みながみな灰を増やすのが花火なら私と君を燃やす 一つに
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吊り革のまあるい穴の向こうにも変わらぬ君と揺れしかなくて
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鞄から誰も知らない生き物の脚が出ていた さよなら電車
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拒まれた葉脈の中の猫たちが葉を食い破りやがて眠った
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憑依した酒がゴーストライターの三十一文字みそいちもじが多産多死かな
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涙枯れドアを開けるといるはずの揺れる尻尾とヒコーキ耳が
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弱さとは祈りだけどもきらきらともう大丈夫よ死んでしまった
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遮光して光を亡くしたその部屋でコーヒー豆を挽いた午前五時
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誰もかも生きていますね屋上の青眼の子どもだけでもどうか
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黒点が無数に増える果物が未来を暗示したから 逃げて
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絵を飾る飾る価値すらない人が消えて登場人物になる
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鳥の墜つ地点に黒い穴があり見知らぬ僕が抱きしめた夜
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