近く寄り おててないない きゅるるん瞳 ねこ母でなくとも分かる「撫でろ」と
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大ぶりのチョコ2個で胃薬手に取れり 昔は一箱ふつうに食べてた
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本当をわかってるなら大丈夫 失恋したらめっちゃ泣こうぜ
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みづからをつらぬくひかりころすなといはば詩歌その危き淵に
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予後不良心膜炎経過観察このよのほかにいくるすべなく
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サンミシェル大聖堂に火事迫り熔けむ、磔刑像も木百合も
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何からもシラフで生きていくのには朝陽の味が苦すぎるせかい
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平日も 煌やかである 有明は オシャンティーだが住みたくないな
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覗き戸のなかの交差法極彩の貴婦人ふたりふたごのごとく
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銀球鏡対称反射左利きなれば右手にかばふ利き腕
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ねこへの愛 並大抵ではまけないが すてきな短歌うたにできるかどうかは
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化物の親玉として担がれてみこし入道増長しすぎ
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ああ君は 真夏が蝉を 共にして 我を残して 去り行くようで 
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乳頭に毛糸を垂らし一糸ほど纏っていると主張するきみ
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幸せにいろやかたちやてざわりやにおいがあるならそれは猫なり
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昼休み  思いのほかに熟睡し  「ここはどこ」かと 見当を失う
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雨予報室内干しに慣れたけど乾いて熱いシャツも懐かし
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三十六の魂 一つの命で償う 不条理さかな
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ヴィーガンもグルテンフリーもくそくらえ産まれた時から体調不良さ
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陰性でホッとしたなり いまどきは インフルの検査もしてくれるのね
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息子からLINE 電話していい? 着信を待つ数秒が 長く思えて
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寝てたはずの ねこが「おひる」と見上げおる 寝ぼけまなこの おめめが可愛い
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極たまに出番があると菓子のふたタッパーの片割れ隠し持ち
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引越して半年経ちて未だなお火曜日にゴミ出そうとする朝
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昼下がり やしろの蔭と 森に蝉 宿題みし子は 夏草に消え
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さいごまで「あの子がほしい」と言われずもアニソン歌う今があるので
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雲たちが  西に向かってかけてゆく  凶暴なやつが来るからヤバい
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ワタクシの  人生のすべてがここにある  スマホの画面 離さぬ人あり
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風やあらぬ秋や昔と見上ぐればわが身一つに曇る月影
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「涼しい」が「寒い」に 変わるの いつだろう?  天気予報は今日も快晴
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