星屑が波と溶けあふ海原の果てを求めてさまよふ海月
6
ふと切ってみた 夢のまた夢の輪の 指に絡ませる毛先すらなく
2
月光が差すマンションのテラスにてバイト終わりの脱力タイム
1
三学期終わり近づき好きなキャラきちんと書けたデデデ大王
1
独身の友の豪遊羨ましくなんかはないさ土曜日の夜
2
星の裏行き切符だけ握りしめバスに乗りたいような夜だな
3
落ちているマスクの皺のより方が傷害事件の動機だったり
4
年老いた母に代わりて糸とおす針の穴より小さき我が身ぞ
3
人工物なれど美(うま)しきロケットはすっくと立てる種子島の海
2
さびしくて風吹く夜の裸木は熊手のように星をあつめる
24
何故なのか あるいはそうではないのかを 問い続けてく 夜が明けるまで
1
生きていて 生きててくれ とただ願う 月も沈むし花も散るのに
3
目覚めたら隣の君はまだ寝てておでこにそっとおでこをつける
6
どうやって二人で抜けて帰ろうかLINEを交わす夜のカラオケ
10
懐かしい気もする朝の悪魔来てこりゃだめだわと諳んじる経
1
星を取り 尾久の車庫にて 休む81 夜行を曳きし 勇姿偲びて
3
空色のアパートの屋根たかだかと打球は超えて夏へ飛び込む
4
沈丁花赤い蕾は固いまま春風やさしく開花いざなえ 
3
きのうまでただの他人だったあなたと、今はガッツリLINEしてるね
2
布団から 飛び出たお手て 冷たくなりし そっと引き寄せ あたためる
2
「大丈夫、泣いた分だけ強くなる」「弱くていいから泣きたくない」
2
この発明はただわれひとりのためにあると知れば難しくない
3
累積す言葉をさらに畳み込み最小位相のうたを求める
2
ひとしきりうがいをしては毒共を今吐き出しておはよう儀式
1
寒い雨鬱陶しくもこの朝は何を読もうと跳ね返される
1
幼子が茶屋で休憩あぐら組頬張る団子愛しかわゆし
2
明け方を貫く強き昴ひとつよするどい光食べさせてくれ
1
記念日は 三十七年 前の今日 「幸多かれ」とは まさにそのもの
3
呟いた わたしを嘆くひとりごと 親にそっくり 悪夢の引き金
2
自分には才能なんてないことを知れた時点で三マスすすむ
7