あちこちで季節外れの桜咲く ポカポカ陽気に 春が来たかと
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あぁ貘よ そこには母が いるはずだ 更地となりし 実家の夢を
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極月ごくげつの長蛇の列は黒人霊歌コンサート 異人らと並び開演を待つ
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アフリカの魂の叫び黒人霊歌ゴスペルに揺れる会場涙こぼるる
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肌の色少し違って生まれ出て代々つづく労苦と差別
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束縛を鎖を解いてと叫ぶこゑ 黒人霊歌の魂を聴く
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わた畑同胞はらから打たれるむちの音 凍る心をゴスペル癒す
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はろばろと海を乗り越え売られ来て血と汗流す綿花畑に
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秋バラの見事な写真に感嘆す 離宮も長居も 公園遠き
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シャボン玉秋色うつし弾けてく北風吹きて冬支度する
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殺しても、殺された人が帰っては来ないのだけど。我らときたら。
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もうそろそろ忘れてもいい。私とは私が生んだことにしていい。
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理不尽によく耐えすぎて理不尽がなくては困るようになる人
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あんたの彼氏より私の方があんたのこと知ってるのに
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好きでもないコーヒーを無理矢理流し込む朝大人になったと思う
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この新刊買った気もするしない気も 二冊あっても困りゃしないか
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ストーブを出すほどでもなく着る毛布だけでは寒い秋の夜長よ
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曖昧な 態度をとって はぐらかし 気持ちを隠し 平静装う
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冷えた指 あなたの指も 冷たくて 重ね合わては 温めあって
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触れられた 冷たい頬が 熱を帯び 色づき始め 紅玉となる
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TLに時々流れてくる犬が死んだと知って涙する夜
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夕暮れに家々の灯のともるころ風にながれてシロフォン聞こゆ
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ハロウィンが 終わった途端 クリスマス 何年生きても 慣れない早さ
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床暖房 まだいらないと 君は云う 凍てつく床と 冬の訪れ
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幸福しあわせが あればあるほど 飽和して いつのまにやら 感覚麻痺だ
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紙を撫で ページをめくり 恋をした 本の中でも 息ができれば
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ぽっと出の あなたに何が わかるのよ 私でさえも わからないのに
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雑貨屋で 君が欲しいと 言っていた あのキーホルダー まだ棚の中
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「かわいい」に 深い意味など 無いはずで それでも淡い 期待が燃ゆる
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ありがとう 言われるために 親切に してないけれど また言われたい
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