永久に歯を磨いていたい夜は懇願をした君に会いたい
1
恋しいと思う間もなく取り上げられたサイリウム 君に似ている
1
二十三世紀でもまだひとりだが散歩みちにはシャクナゲ香る
2
沈むもの君が傷だというのならわたしの浮かぶこれは何だろう
1
ちょっとなぜ私ばかりと燃え上がる炎先ほさきしゃくにもかんにもさわ
3
プロフィール ただの一言memento moriと書いておきたい夜もある
0
一もなくその四半すら最早なく何も残らぬ抜け殻ひとつ
1
空蝉よ ぼくたちの死を悼んでくれよ カナカナカナシイ ミーンナカナシイ
1
たましひの飢ゑかわくゆゑぬばたまのクロイツェルソナタくりかへし聴く
1
気になって蛹を背から切り開く ほら夏という夏がもつれる
2
おかっぱの少女ら突如一斉にななめになるような熱帯夜
4
トカゲ見て青か茶色か見定めて「今日も焦げ色・・・」中吉かな
0
雨の音よりも先に雨の匂いそこから感じる夕立の夏
1
アートとは生み出すこと見つけたりわかってくれと教授にいうが
0
クレヨンで描いた黒い気持ちなら水彩の言葉弾くよはじく
0
静けさが心地いいのと言うあなた私はあくびの午前2時半
0
待ってろよ 今すぐお前のとこに行く 夢で逢えたら、なんて言うなよ
2
生まれ変わる方法未だ見つからず 資源ごみにもなれない僕ら
1
貰えたと喜び勇むこともなくひとり静かに路を往く人よ
1
ぼくたちはスーパーマンにはなれなくて何者でもなくそれでも生きて
1
燃えるゴミ 捨てそこねてる間にも 還れ土へと呼ばわれており
1
アンダンテ・ソステヌートできかせてよこの世をのがれるための呪文を
0
おそろいのものを食してみたかったカルディなんてないこの町で
8
教室の窓の外では致死量の夏に生徒が殺されている
7
たのまずよ夏のなぎさの砂に書く人のこころの波に消ぬべく
0
アレクサがストップ無視をしてる理由わけ鳴いているのは本物の蝉
4
立つ煙 眼に浮かべても見えなくなる 空登る合図こればかり愛す
0
いもを煮てくるるをとこを婿とせよかみながき子よなつのをとめよ
0
ペン持ちてテキスト開いてみるものの慣れない数式また後回し
0
なつかしきなつのひぐれのマドリガルをどるをとめのくるぶししろく
3