押入れで金平糖をばら撒いて星座を作る遊びをしよう
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この部屋で初めての夏が来る前に 心は四季を三周はした
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言えと言われても言わない 言われたらようやく言える意地の「好きだよ」
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遊具なく牙を抜かれた公園が防災無線の遠吠えで呼ぶ
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別れた日ベッドのすき間に読みかけの本を仕込んだ続きが気になる
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魔女、魔性 魔物の魔球 魔魔魔魔魔 母音の形は洞窟の闇
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あの店は無事に繁盛してたけど 今日のディナーは持ち帰りピザ
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「取りたいな、かわいい服を着る資格」「生まれ変わってお越しください」
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「神様になりたいんだ」と君は言う じゃあ悪い私も愛してね
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「君がため」その発音で言わないで 固めた私を何処に置くの
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髪の毛を30センチ切ったのに恋は根元に潜んでたのね
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失恋と気付けないだろう パルミエを割って一人で食べる奴だし
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ひとつきに一度読みたい本がある二度と会えなくなる人もいる
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コーヒーをおいしく思い始めたら僕は子供でいられませんか
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亡き母の手入れし庭も荒れたまま雑草共に名も知らぬ花
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掻き鳴らせ 認識されぬキーボード 切れたコードが織り成すテクノ
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輪郭がぼやけるほどの優しさとアイスノンミスト携えてゆく
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夏は夜 眠れないのよ 納言嬢 雨も止んでて 月もないから
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枕を叩きつけ忘れた日が蒼穹のように喉に絡まっている
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親友を検索しても〈ありません〉 犯罪歴があればいいのに
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先走り書かれた2人の記念日を修正テープの下に埋葬
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乱雑に星を繋いで愚かしい神話をつくった浜辺に夜明け
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暗闇は暗闇のまま受けいれて 光で希釈するひとはいや
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渓谷のような肩甲骨下る背骨は線路 指列車行く
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カラコロロ ヤクルトレディーの来訪は察知する耳 上司を無視す
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叙々苑の品書きにほのり残る香を吸い込み胃の腑を目覚めさす朝
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指差しで神のお告げを待っている蓬莱軒の券売機の前
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ショベルカーになったつもりでチャーハンにレンゲを入れてニュータウン生む
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アイラブユー囁かれし身はこそばゆく味玉みたいな満月眺む
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幸せにできると信じていた夏の あのうだる暑さ 今は底冷え
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