君の前だと僕は石 僕の前 君はこんなに 軽やかな風
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金色のスプレー舞って冬を嗅ぐ籠に盛られた蜜柑むくゆび
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降る雪のためにタイヤを交換す「白い妖精」などは降らない
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思秋期や落ち歯入れ歯になりにけり悟り開けず人生閉じる
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君がしあわせでいることで幸せになれる人らに混じりたかった
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ともだちが愛と勇気だけなんてさみしくないの?あんぱんたべる?
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だらしなく下がる目尻は嘘が下手 だから言ったでしょうおいしいって
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双眸の庭の小さな白い花 誰にもさわれないユートピア
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友情と愛情の間の天秤のバランス崩れ貴方はいない
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人あまたゐてそのうちのただ一人のみ我なりと知りし日のこと
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空虚など気付かなかった すれ違いざまにあなたが微笑むまでは
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「ていねいなくらし」の文字が踊る雑誌を横切った深夜のコンビニ
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どちらかというと適合しないほう 社会と呼ばれるこのケースでは
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生きるのに 値しないのではないか 六文銭にも満たぬこの身は
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降る雨に睛をさげし幼な児に、返り咲きしは、まろき踊り子
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お風呂っていつも仄かに死の匂い
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ああ君のパチンコ依存さえ綺麗、顔が好きってそういうことよ
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右肩を君につつかれ温もりはいつまで経っても思い出せそう
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昨日まで君とみた空もう二度と同じ形の雲は流れず
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教室で 君とふたりきり 目が合うの 真っ赤になるのは 夕焼けだから
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居残りで 電気の付かない廊下歩き 一人の怖さを知ったこの時
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反りかえるそばから剥けてゆくような柘榴が口に含まれている
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深淵に灯りを投げて夜に耽るハガキ職人しかいない二時
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紅褪せて葉織脱がせば樹袢無し去り行く君に凩踊る
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君が為 詠まうか歌を 恋の歌 いつか叶うや 信じたまう
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あの人は他人ひとの男であの人も私もただの他人だったね
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頭から落ちていくとき魂は天に向かって飛んでいくんだ
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ものなべてこの涯無きを負ふゆゑに傾ぎて見ゆる青空の下
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菓子パンのように貪る だからかな、いつまでも腹が膨れない恋
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夜更け前 地球のかたち地の球でなかったころの記憶ゆめ見る
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