愛というフィクションなどを信じましょ人には言えぬ悪いことして
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気付けないものでは知り得ないもっと形式的な愛もください
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(多分だけど)違う。あたしの持つ貌と君の見ている私の顔は
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疑いを、視覚で得るものの全てを、口から滑り出る言葉らを
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昇る陽を背に受けて立つ ネクタイを締めた戦士は戦いにゆく
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新鮮なフルーツタルトは神ですが、われの正義は豆寒天に在り
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つるつるの爪を粗く研ぎ直す 明日は卒業式だから
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生ぬるい雨の匂いと梅の花 役目を終えてほたりと落ちる
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これまでに触れたすべてのものよりも指先こそが遠かったのだ
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ひとりにて我風呂つくる夕餉かな 味噌汁のなか泳ぐ三月
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あの笛を 買ってとねだる 娘(こ)をみれば  その指先に 翁草笛を吹く
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愛情に飢えたケモノがここにいます。憐みを与えないでください。
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土手沿いの夕焼け小焼けの帰り道君の吹く口笛きいていた
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I amを仮定して境目をなぞるこれを私の文学とする
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かのひとの残したように限りある鱗を剥がすよに歌を詠み
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悩みとか心配事は転がそう  三角定規のお山の上から
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波風に 巻き立つ砂は 忘れゆくなにかのかどを 削り流れる
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君という 大きな槌に 叩かれて 僕はどんどん 澄んでしまうの
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心臓を蹴り飛ばすみたいなキスで今すぐ夢を終わらせてくれ
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忘れ雪温泉の中君恋ゆる隣人と我眼を見合わせむ
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したくもない自慰 読みたくもない漫画 いっそ焦りも消えればいいのに
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忙しい! 頑張る心も 亡くなった 「心亡」こころなくすを 「忙」いそがしいと云ふ
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忘れたい! 思う心も 亡くなった 「心亡」こころなくすを 「忘」わすると云ふのだ
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見えた気でいただけだった ワイシャツに透ける下着も大人の闇も
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傷口を わざわざさらす 理由はない だからわたしは 口を閉ざすわ
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通路脇ベンチ菓子パン食べる夜 品川駅とひとつになれる
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自由律短歌を何首 詠んだとて 自由になれたためしなどない
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石たちを見つめる君のの色に溶け合う石で指を飾ろう
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僕だけが いない街です 僕だけが ただ僕だけが いない街です
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ごろごろと茹でた卵を取り出して握り潰してしまいたい夜
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