冷蔵庫から取り出した梨の実は水道水よりずっと冷たい
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空腹のつまるみぞまでしっかりとおしよせしめるタピオカの密
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赤色のリボン揺らしてハイヒール今日の私は一等かわいい
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オフィス街恋人たちの日曜日ドトールさえもお休みなのに
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シリウスを落とした気分でいるんです一等星を捕まえた夜
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中昔 南に散った 若桜 勇壮永遠に あに忘るまじ
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若くしてあの世に翔んだ青い春 今日は流すよ AviciiのHeaven
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人生のハイライトとしていつか観るシーンにたぶん含まれない朝
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シーツの帆はためく庭に泳ぐ虹 夏草の海をゆけロンパース
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この風があなたならいい カンカン帽さらわれたくて浅くかぶって
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離れても飛ばす手紙に君だってわかる暗号を添えていく
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なんとなくヤクルトを歯で開けてみるアルミの味がしてアンチ・大人
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引っ越しの扉を開けて立ち止まる裸足の一首は呼吸をしている
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黄昏にかかとを三度鳴らしても僕にはかえる水槽がない
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学者から琥珀と呼ばれる木の涙 太古に言葉は存在しない
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かなしみに痛苦いっさい僕のもの誰にもやらぬ君にも見せぬ
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空からの光線が降る今日もまた日傘の君を次々追い抜く
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出来るなら 君の吐息を 吸い込んで 光合成を してみたい朝
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Angerの あなただったか Ankerは いなくなった日 失った自制
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明朝体フィルムカメラの文字列は 耳のそばでシャッターを切る
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この夏の思い出が欲しかったんだ 言い訳ばかりの線香花火
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ガチャガチャと偶然を楽しんでいるつもりだったね君も私も
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この指に露店で買った百円の指輪でもはめて好きだと言って
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幸せに 良い思い出だけ 持ち去って 愛したことは 後悔しない
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あやまちを犯さず挫折もしたことのないひとのいう『普通』がこわい
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「夏が来て」ここから先が歌えない 夏が来てなんだ? 恋でもするのか?
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絶望を 肺にありったけ吸い込んで 交換しようか 蠱毒のように
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うまいものたらふく食わされ艶々と円く描かれるわたしのおなか
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寝転んで 畳の縁の 文様を 数えてあそべる夏は過ぎてて
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シャワー機が 木枯らしのような 鳴き声で つまりそれだけ 年月を経た
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