あの夜に 君に切られた この傷の ふさがる気配が 一向にない
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この想い海へ投げるには汚くて そっと砂に混ぜておきました
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ぬるま湯に浸かっているのだろうかとぬるいシャワーを浴びてつぶやく
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庭先の南天の枝揺れひよどりのぴーよぴーよと梅雨のたそがれ 
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皇后の胸に抱かれ合歓の花 風のハミングゆるやかに揺れて
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‪捨ててきたものが夜毎に押し寄せるこの街からも星は遠いね‬
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そのしぐさひとつやたらと絵になっているどこで練習したのだろう
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先生の名前あの子とおんなじであの子と違うしゃべりかたする
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孤独ではなかったことを知るために遣わされたるさらなる孤独
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唇が模範解答紡ぎ出す心はどこで何をしている
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太陽を知っているのかキッチンの光でなんか育つな豆苗
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見えていて無視されているよりましだわたしはきっと透明なんだ
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骨抜きにされたナゲットまるくなり相槌をただ延々と打つ
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深海に落ちていく様な眠りから私を起こすあなたはマーマン
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眠たそな午前10時のきみの顔 馬鹿に愛しく両手を広げる
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毎晩と共寝しているぬいぐるみ右側だけがわしゃわしゃになる
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久々の晴れ空仰いでシーツ干す 清々しさなら私が優勝
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忘れたよ時の洗礼を引き受けたきみの祈りときれいな廃墟
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言葉には果てがあるのが寂しくてぼくは小鳥が咥えしハモニカ
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洗われた白いシャツの胸ポケットの奥に潜みしまっくろくろすけ
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雨を詠みまた雨を詠み雨になる詩人の梅雨はカフカの変身
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朽ち果てた路傍に佇む傘たちのためにわたしは雨を詠むから
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しゃわしゃわと蝉の声で我に返る 挨拶もなく夏は来ていた
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𝄆𝄻𝆑𝆑𝆑𝆑𝄇猛烈な休符は好きなだけ無限𝄐終わりのcorona・終止符はnull
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緘黙の理由ばかりが巧くなる無韻詩ブランクヴァースのごとき生活
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家族でもその距離が違う忘れたい忘れたくない飼い犬の命日
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この国の未来に悲観するけれど甥ふたりには良きものであれ
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玄関に一粒落ちてたさくらんぼ神の啓示 否 小鳥の告白
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‪適職は作家に詩人うそばかりわたしをかわいそうにしないで‬
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エイリアンだったならいい言葉すら通じなくても苛立たず済む
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