お利口な子は使い棄て そんなもん、カイロだからね。春はあげない
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市立中 便利な児童 教員の手のひらの中 酸化していく
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公立の小中の子の優しさは 先生の手を温めていた
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僕はただ 僕であるだけ 君もただ 君であるだけ 戻れない過去
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会えない人に 訳を聞いても 返ってこない 君の心に 僕は居ないのだから
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僕の日常から 君が消えた だけでなく 君の日常からも 僕は消えた
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このところ 君が毎晩 夢に出る 忘れたいのに 忘れられない
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よる波に優しく乗りて、気動車の響きが 浦をわたり来るかも 
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波ほどの浦や岬や 花ほどの遠つ漁り火、はてに咲きけり
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春ですか… こころの春は まだ遠く 昨日も今日も 未だ冬です
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滅びても消えてもいいと思うのは何でも難しいよねわかる
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エアコンが僕と君との緊張をかき混ぜていく冬の日の夜
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コンビニで桜の味がするチョコを買って帰るよ 雪に足跡
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ごめんなさい ごめんなさいと泣きながら お花畑に水を手向ける
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泣くことも怒ることすらままならぬ 屍体だらけの僕の胸中
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「母さんの手に似てきたね」 くしゃくしゃのぼくの手を取る母の口もと
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まだ大丈夫まだ大丈夫まだ大丈夫まだ大丈夫 むり
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ぐるぐると回る洗濯機入るから ナカソトも綺麗にしてくれ
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「さよなら」を言った数だけ春が来る 「またいつか」ってありもしないで
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えぇ、マチコ 私、革命家になるの このボルドーのニットワンピで
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モモンガにモモは安直だと言えば頬の色だと夫は返し
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足向けて寝ないようにと製造者住所メモした「創味は京都」
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「午後九時は深夜なのよ」という君の頬の赤さに触れてみたいよ
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ブルーベリー 溺れる魚 化粧台 溶けない氷 割れないシャボン
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「足りない」を埋め合う地味な毎日が続く続くよいついつまでも
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心臓が跳ねて呼吸を邪魔してる水も無いのに溺れるように
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じゃあここで笑ってる君は誰なんだ いや、〝何〞なんだ 〝君〞はわらった
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角に小指をぶつけても 生きているのだから 僕はきっと不死身
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連れ添った思い出そっくりもって逝く あまいオレオのクリームみたいに
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〝ラ〞の音を聴かせてよ君の心臓の音を君の悲しみの音
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