咲ききればられる定め古桜ふるざくら何も言わずにただ咲き誇り
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桜花かの人待たず散りぬるを遣らずの雨の泣きそぼりおり
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桜木の並木に降るる花吹雪古い団地を淡く抱いて
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「北風と太陽」のよな弥生の日 ぬくい日差しでコート脱ぐ午後
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「オシャレとは我慢!」と昔聞いたよな ちと寒いけどタイトスカートタイトで出勤
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そこここに開花す桜美しく それで十分お花見気分
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弁当の 青菜はゴマか 塩コブか 聞くため出待ち 朝の雪隠
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昼食にピザを一緒に食べるだけそれもイベント父子の土曜
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まだ知らぬ外の世界に憧れて 窓辺で冒険を夢見る猫
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鈍色にびいろに染まりし空 仰ぎ見れば ビルの狭間はざまに 月浮かぶ街
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海月うみつきと書いて海月くらげと読むような月ぼんやりと春の霞に
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浮かれてた 1年後に来る どしゃ降りの 淋しさの雨 打たれるなんて
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詰め込んだ家事の合間のパック寿司慣らし保育という非日常
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列島を ツリーとみれば ふる里は ベツレヘムの星 近くて遠くて / 宗谷本線崩落
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寝静まる街を 優しく照る月は 星々共に 黎明れいめいに消ゆ
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お茶したい刺し子もしたい親友とも宛の手紙も書きたし明日の休日
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つい夢中そしてあとに来るまたやったこんを詰めずにぼやっと行くべし
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子の歩む速度で木々のを行けば卯月の枝にはや蝉の殻
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休み前 やりたいことと 睡眠を 天秤にかけ 寝支度はじめ
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文學の空座を英‐翻訳の辞、売文とは善き惡徳の華
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自然機械解析の夕きざす葦の茎は死を思はず 言葉
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都市を経し寒村の老婆は慾るCartierの首飾の留石 まで
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ころもかりぎぬくづる花争へ流鏑の音 正鵠を逸す 
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大切な ニュースもあるが 様々な ことがあるなか 野球が救い
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完全に 世の中は春 わかってる まだ冬服を しまえず着てる
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いつの間に 寝たのだろうか ここはどこ みたいな感じ 記憶を辿る
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話したり 言葉を理解 できぬのに 猫は仕種しぐさや 鳴くだけで
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汝 速やかに死ね――勅命下る白き菊花を手套にはらふ
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緩慢なる自殺と思ふ現実の高架橋より鐡塔に 吊る
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ハリウツド・キネマ・パラダイス。亜麻色の髪の靑少年ゆ離れきて
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