Utakata
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むらさき
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雅俗・調べ・時間
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偽りのことのはあまた誰も彼も通りすがりぬ気にも留めずに
5
午後九時の飲み物は白湯ゆふらりと虚無の時間のうつりそむとき
4
ほつほつと雨しづくの音うす闇に濡れて言葉も湿りてゆきぬ
4
この街を昏く包める冬の音は雨垂れといふ軒下の主
4
昏く濡れ冷たく座る冬にゐて歌の灯りに手をあててをり
3
朱き夏ゆき行きて白き秋のふちとどまり玄き冬を眺むる
3
遠き雲まぶしく街を見下ろせばまだ夏の日の光る球体
3
円柱は春、球体は夏、そして、かたちの消えてゆく秋と冬
3
鏡には老婆と少女の貌もてる紫のいろを纏ひ立つひと
3
紫の
朱
(
あけ
)
を奪ふと言はれてもけふは紫いろに染まらむ
5
末枯
(
うらが
)
るる紫のさまのうつりくるあぢさゐの色に恋をしてをり
3
星星の降る書店にてことのはの深きを見極め吟味してゐる
5
ハート飛ぶ小鳥の部屋のあをき空ひろがりけふも晴れのちくもり
4
言葉より星やハートを飛び交はしこころを贈るあをき惑星
4
いいね!とふ気持ちのかたちとなりてゐる☆も♡も二次元のなか
4
ふくれつらしてゐる雲の下に置くけふのことごと手つかずのまま
7
さはさはと葉擦れのサ行は襲ひ来るひと葉の時に追ひ立てられて
3
秒針のひと刺しそして水滴のひと雫みなしみ入りそむる
4
積ん読のあはひに本の妖精は月光こぼし文字を指さす
3
一冊の時の重さを知らぬまま入りこみたる無風地帯へ
2
紙魚
(
しみ
)
といふさかなの泳ぐ頁にて
水泡
(
みなわ
)
の琥珀いろの膨らむ
3
雨音に秒針かさね落ちてゆく宵闇の底のまぼろしの声
3
どんぐりを土に埋めつつ冬の夢かぞへてゐるやりすのご一家
2
灰いろのりすたち跳ぬる裏庭に灰いろのこころ放り眺めむ
2
それぞれの種は黄色き芽を伸ばし己が答へを天に示しぬ
4
硝子瓶のなかに
犇
(
ひし
)
めきあひてゐる黄色きもやしの答へを食はむ
2
背後には紫陽花と
鴇
(
とき
)
のいろを立て夕の魔物となれる樫の木
5
きりとってそっとしまっておきたいな落石岬の灯台の風
3
沈みても歌に心をうつしつつ三十一文字の深遠にあれ
2
秋の日を春の日と思ひ描くとき濃く薄くあるひかりとであふ
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