むらさき
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雅俗・調べ・時間

すでに街はもみの緑に神聖なる赤を着飾り孤独を待ちぬ
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右頬のほくろは左頬にあり嘘つき鏡と日日対話する
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初霜の白きを雪と見まがひし雪知らぬ子の初雪の朝
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星と星つながり歌の友となり夕の落書き瞬きそむる
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色の字の男女の愛をかたどるとふ本質のになにいろ置かむ
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水の星に生まれしさがを宿すゆゑ魚の泪の天空に見ゆ
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みづからを聖母に仕立て眠り落つ無花果の乳房まろく懐きて
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つつまれてあめの音いろ詠みてみむ温帯雨林のあはき街にて
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たぶんこれは由緒正しきベクトルに向かはば星となれる歌屑
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歌屑と戯るるときを与へられ花と紅葉とおちてゆくらむ
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雨の日は密林書店の円蓋の硝子の窓より未来を見たし
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雨の日の虹いろの豆のスウプよりまめまめしくなる伝言もらふ
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亞米利加の混迷ぶりを北叟ほくそ笑む露西亞より愛を込めたる接吻
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歌屑をひとひらひとひらちぎり入れ硝子にまはす万華鏡かな
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みづ玉のほの明き吐息しきつめるまろき桂の冬への小径
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植物と交感しあふ影うつす白壁のうすき以心伝心
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雨ふりに零れおちくる歌屑のほつりほつりと染み入りそむる
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メスmethマリファナmarijuana コカインcocaineヘロインheroineオピオイドopioid…虹色の禍に染まる街角
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むらさきの雨に濡れつつこの星にきのふ流れし泪を見つる
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一時間長きあはひをいただきて眠りに捧ぐ冬のはじまり
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窓辺より風の吹く日になに飛ばさむ こころ ことのは このみ 飛ばさむ
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不公平不条理は此の国に住む正道と言ひ星条旗揺る
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泪ひとつ零るるかたちの乳房には悲しみあらずほほ笑みてゐる
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葉と風の歌を詠みにしさらさらと目覚めて消ゆる夢のことのは
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アヲハタとアカハタ靡ける渾沌の中つ方にて狼煙上がりぬ
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目覚むればふたたびの雨墨いろの闇を叩き継ぎあしたを穿つ
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しづかなる詩人の言葉は声となり犬と猫のみ聴きてゐる午後
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さまざまなる民の素顔の通り交ふ街にこのも添へて歩ける
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この上なく貧しき血潮と生くるゆゑめぐれよめぐれ赤と流るる
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寒き夜は星のひとつを抱きつつ胎児となりて眠りへ落つる
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