葉舟
19
18
投稿数
687

読売歌壇入選・読売俳壇入選。

桟敷席弁当四つ買ってきて母に言われて財布を握る
4
気持ちなど嵐のように吹き飛んで恋の痛みとどこか遠くに
3
君恋し昭和歌謡も懐かしい君へ気持ちの言葉を探す
5
切れ味の鋭いカーブを投げる君連れて行ってよ甲子園まで
8
地下街の暖簾をくぐり声を掛け熱燗一合店主に頼む
11
消しゴムを拾ってよと言う君と会い過ごした時間はもう何年か
10
川岸の水際光り煌めいて君の横にて水切りをする
5
あらまあと祖母が拭いてくれている娘がさっきこぼしたジュース
5
泣きながら怒った君の声が今脳裏に浮かんだ鋭い痛み
4
ジュラ紀とか白亜紀とかが懐かしい今は代わりのプレゼン資料
4
夕方にそろりと出かけるウチの人私の退職祝いにビールか
9
粗削り期待されてた初学年今夏はスタンド声を枯らして
4
しみったれクラスメートにそう言われ君らお金の大事さ分からん
6
エレベーターあべのハルカス展望台デートの場所はやはりここだな
6
どぶろくを駅の名店街で買う綺麗なデザイン君に贈るか
7
新たなる年を迎えて喜んだ時は昔か過ぎし日怖し
6
新古今中古の文庫手に入れて助詞と助動詞じっと眺める
6
友達と喧嘩別れの時が来てまた新しい縁が来るかも
4
寒椿もうすぐ雪も消え去って微かな日差しが差す季節来る
8
切り刻むような寒さはあの時の耳をかすめた悪口のよう
8
春先の寒さが抜ける時を待つ姉の婚礼バージンロード
8
流麗な雰囲気薫る君を見て触れたらどんなに良いかと思い
6
ゲンコツを父に喰らったという父に祖父の頑固な面影を見る
8
冬鴨が北へと渡る季節来て池の周りの雪も溶けたり
11
これっきり会えない最後のデートでもサバサバとした気分も残り
4
ばくだんという玉子入りおでんの具母のなまりと実家の温み
11
キレイめの服を着たいと探す春そろそろ店にも行く気になって
7
白魚が市場に並ぶこの頃に父の具合も少し良くなり
10
紅梅を観に名園へ母と行き茶店で二人お薄を飲んで
8
バイト後にサンドバッグを叩く日々口を殴られ血の味がする
5