葉舟
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読売歌壇入選・読売俳壇入選。

生き返る気持ちの水が欲しいなと思う疲れを背負うこの頃
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信じ込むことばかりではないという説教を恩師から受け寂しく帰る
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煮えたぎる鍋の豆腐をアツアツと頬張る父の顔は赤くて
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雪深き地方生まれの友人は流石に凍りし道も平気で
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この世ではあの世のことを言うけどもあの世で次の世何と呼ぶのか
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苛立って起き抜けに叫ぶ気でいたが妻の気配で布団に潜る
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辛抱が足りぬと父の説教も効かず飛び出す若かりし頃
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明け方の河畔を泳ぐ水鳥の波紋が後にゆっくり開く
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イリジウム分析などして生きながら学者の父も老いに佇む
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珈琲を挽く時代過ぎコンビニで急いでブラック注ぐ明け方
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消しゴムを転がし答え当てるよりもっと勉強しろよ言う友
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理科室の実験器具を先生が磨く光景風叩く窓
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冬紅葉この雪下ユキシタに埋もれおり次の季節の風を想いて
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印象派セザンヌゴッホマネにモネ画学生たち画板を持ちて
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老梅の咲く花散りしなお散りしこの世の末の闇を朧る
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満足のいく青空が晴れ渡りカラリと冴えた冬が広がる
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悔みおり空に輝く星月夜寒々しくて涙こぼれる
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働けどと言った啄木過ぎたのか濡れ手に泡と今も啄木
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ところがね子どもに童話を読み聞かせ赤ずきんが食べられるとこ
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寂しさの気持ち高まり涙する男のくせにと我が身責めたり
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綺麗事抜かして人物評をする苦労知らずのお前なんぞは
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意味なさず落ちてしまった大学の受験費用を散らして終えし
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銀杏の季節は過ぎてさて次はおせちが来るかと待ち遠しくて
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勃興期すぎたファッションストリート首から下げたチェーンが道に
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言い切れぬあいつが悪いという言葉世間の見方と家族は違う
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赤福をさていそいそと持ってくる母の微笑はモナリザのよう
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雪道のタイヤの轍うねうねと白く乱れて足を滑らす
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友とまた言い争いになったのはあちらのせいとお互い思う
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山茶花の道過ぎ行きて曲がり角ばったり出会う会釈しないと
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あれはもう忘れてしまえ言うお告げ脳裏に浮かぶ目覚めた時に
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