美美庵
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最近、ある方の影響で、三十数年ぶりに、
詠みはじめてみました。
拙く、荒削りなものばかりですが、
一日一首を目標に頑張ってみます。
よろしくお願いいたします。

哀しみのレンズ通して不可思議な光を放つ羞じらいの人
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冬枯れのバスを降り来てちりぢりに向かう先あり無き人もおり
12
凍てついた優しみたれも放置して黒のドレスの時限装置に
6
舞う少女どうぞ私に微笑みを歌でにわかに沸き立つように
9
折々の父の蹉跌さてつを思いつつわがよわいとの比較鑑み
10
人間がぜる音する生存の哀しみすらも放棄する様
7
掌で包むカップのココアには生きる哀しみカカオと混じり
10
不貞腐れ毒づきそしてまた一歩歩み始める波間の少女
9
現在いま以上寂しさでない災厄を私たち皆引き受けかねて
10
寒々と窓に灯点る施設あり夜闇淋しいバス通り沿い
18
シルバーのブーツの女性もその挙措と瞳に愁い煩い秘めて
10
子どもの本磨きて存外装幀が綺麗でやにわに嬉しくなりし
13
キミがまだスマホを見てるその隙に月に向かって飛翔しましょう
8
轟音で走る地下鉄車輌内独り私を運ぶ西方浄土
13
お父さん私が生であるためにYES私は死にゆくでしょう
7
か弱げな一輪挿しであるためにその花弁はなびらは剛鉄なりし
8
霊術の人が言われし魂が男であると友の又聞き
6
家族いる時代ときを悲哀で回想すバターチキンのカレー食せば
12
かけがえのない自由あり床しくて良きことだけが起こってますよ
8
陽だまりをたんと浴びせて頂戴なメインクーンの粋なわがまま
9
悲の陰に正義を秘して韜晦とうかいすアカネアゲハのドレスアップは
8
友の母逝きて陰陽変転す疲労降り積む師走木枯らし
14
光輪のまばゆさ浴びて受け止める生死の天寿愛在るままに
8
ころんばん詩を語り合う私たちかつて在りし淡い時代よ
8
電気屋のエキゾチックな顔立ちの二十歳で逝った同期のあの
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何者でないかを先にお伝えし私をわかる手っ取り早さ
5
あなたなら銀の潮騒聞きつけて砂地に伏せる私察して
8
ソナチネが住宅街で聴こえたらもうそれでいいそれでいいのよ
5
アズールの空をうつろに見ちゃダメよ仲良し雲と浮かんだリボン
5
十二月五日が母の命日で明け方四時に家路についた
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