美美庵
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最近、ある方の影響で、三十数年ぶりに、
詠みはじめてみました。
拙く、荒削りなものばかりですが、
一日一首を目標に頑張ってみます。
よろしくお願いいたします。

プレゼント漂流しつつ流れ着く私はそれを開けないけれど
16
それなりに歳とったはずの不思議ありぼくが聴いてるチェット・ベイカー
10
物語続きはいつも些事雑事そんなページっていくだけ
14
白々ときみの魚が正視させぼくをきよめるフランス組曲
9
もうとうにぼくのリズムをずれているブルグミュラーのメトロノームよ
10
二十時の危険な無事の過ぎるときぼくの鼓動はより速まって
9
きみがいてある日卒然消えたのが鮮々と凪ぐ海でよかった
10
人生の通行禁止前にしてぼくは百年取り澄ましてる
11
一生にあまた見てきた諸々の死の相なべてぼくの死だった
10
さあお逃げぼくの指先逃がし翔ぶ蝶だけ捕獲してるんだよ
8
用意など出来てるような積りだけ未知方向で来る女神
8
忘れない蝶を追うときキミがいて放てば花と風に消え去り
13
精霊が嘘や葛藤見透かして見つめおりたる恥じる私を
15
程なくし日は沈みゆく少女指す指先ほどの愛が撒ければ
9
悲惨さが満ちる道ほどその道は私に非ずHAPPY・RORD
8
レキサルティ眠り赴く束の間の最後の瞬時心安けく
7
公然と聞こえるほどの大仰なため息つかすここも他所よその地
10
鉄格子左右から出るちいちゃな手今日の別れか明日の約束
8
稲穂揺れ金の西日を背景に違わぬ誓いここに交わされ
13
苦行との対比さぞかし珍妙でメリーベリーのフラペチーノ
8
幸福なクラス級友絆ありあれが最後の冬物語
13
丸四角丸に四角は合わないと強くなれよと四角に言いて
6
哀しみのレンズ通して不可思議な光を放つ羞じらいの人
8
冬枯れのバスを降り来てちりぢりに向かう先あり無き人もおり
12
凍てついた優しみたれも放置して黒のドレスの時限装置に
6
舞う少女どうぞ私に微笑みを歌でにわかに沸き立つように
9
折々の父の蹉跌さてつを思いつつわがよわいとの比較鑑み
10
人間がぜる音する生存の哀しみすらも放棄する様
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掌で包むカップのココアには生きる哀しみカカオと混じり
10
不貞腐れ毒づきそしてまた一歩歩み始める波間の少女
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