美美庵
91
57
投稿数
546

最近、ある方の影響で、三十数年ぶりに、
詠みはじめてみました。
拙く、荒削りなものばかりですが、
一日一首を目標に頑張ってみます。
よろしくお願いいたします。

一瞥いちべつは何ぞ含みてさにあらん彼も彼女も世間そむきて
8
仮借なく重ねられたる沈黙に私の青いゼフィルス 舞いて
7
奥さまの黒い自転車在りしとき無きとき他人ひとのリズム推しはかり
7
荒涼と日夜を過ごす独り身に迫る師走にもう慣れ果てて
17
海の夢そう当て字してみゆちゃんと呼ぶ少女のことを思惟しており
7
妻を待つベレーの男性顔しかめ小さきスマホに難渋しおり
8
救いなくこんな惨めに彷徨った日々が幸福だったと知れる日が来る
17
こころとは骨肉でなく臓器でもなし厳かにそこに在るもの
10
泣いてるか怒ってるかのような目で熱い緋色のマグカップ持ち
9
真実の自分たること第一義要らぬ苦悩が膨れ上がって
5
袖口に蝶が止まりて時間止みまた音もなくひらとびたち
15
理由わけもなくえない男イエーツの面差し掠め消え去る午後に
8
堪忍土かんにんど目にすることが愛ならばそれはつまりは天使の派遣
6
歌はまだ歌われてない風だけが不用意なキミさらっていくわ
8
花びらのように浮かんだ優しさの波紋静かに今透き通る
12
騒然たるカフェの喧騒只中に独り居れればキミは詩人だ
11
知己のない街で安否の確認を頼みし遠く輝ける日々
9
記憶ある青い麦穂の踊る田にボクが見たのは愛の結晶
7
嗚咽して無垢であるだけアスファルト蹴り続けてた黒のローファー
11
キラキラのネイルチップの指さばき携帯ショップで命からがら
8
人波という名の波は寂しさも俄然つのりて行く手それぞれ
12
ねぎらいも意味も理屈もないドアがラストロードの果てに待ってる
8
虹がもう七色でなく瓦解する用意は出来ているのでしょうか
5
冬を待つキャリーケースに一杯の不思議と覚悟を詰め込んで
7
レンタルの私を遂に返すとき世界が無事でありますように
12
作られしもののなかにて地雷あり無言でしかないボクらの悲鳴
10
パステルのピンクの空にただ花である以外ない一輪の花
6
不器用と畏縮と狂気生真面目をミキサーかけて癒やしのスパイス
8
飄々と用なく友なく事もなく今日もふうわり白猫でした
9
もう一度きらめく風に纏われて自己と私の一致を見たい
9