美美庵
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最近、ある方の影響で、三十数年ぶりに、
詠みはじめてみました。
拙く、荒削りなものばかりですが、
一日一首を目標に頑張ってみます。
よろしくお願いいたします。

駘蕩たいとうとして人の良いイラついた母に近頃似てきた私
13
はるが来るそのことだけは明白で純白さには罪がきせられ
13
安らぎをあなたのなかに見つけてねほかのどこにもないものだから
14
愛せないきみはぼくからまもられて敢えてまとわぬシフォンのドレス
11
寒中の戦闘あまり辛すぎて手持ち無沙汰なハンドクリーム
12
冬晴れのミルク色の陽降り注ぐ安穏などはどこにもないよ
11
麗しき神話を跡にこしらえるラメいりピンクのネイルチップを
11
いつもニコニコしていたと母のいう父会ってみたかった
17
白々と落ちるおつりをわしづかみ虚無漂いてセルフレジより
13
列をなし並び待つ人いずこにも用も足せない不自由タウン
10
冬模様駐輪場は有料で寂しき構図音立てはず
9
冬枯れの人いきれ沸く寒空に天使の如く独りぼっちよ
13
与えるも受け取るもなくその人のただ存在が「愛」だった人
14
生涯をよそびととして石となり燃えるを背に辿るわが帰路
11
パステルのピンクの空にただ花であるしかない一輪の君
14
ぼくがに堅忍不抜の鎮まりをなくして愛は放射出来ない
7
賢さや優しさなどを無下にして行かせた私堪忍してね
16
もう済んだはずの頁がページ尽きないね白い帳面あと何ページ
12
肩越しに汚物吐瀉して寝かされて天使と呼ばれ青き日月
9
生きるのはもう結構ですよと恥じらってお月様が言いました
12
慚愧ざんきすら出来ない人生整理して心静かに準備しなさい
9
不思議とも縁が切られた青い麦ぼくと並んで風になびこう
12
ミニマムな極地を洒落た空間で髪切る音の虚無の静けさ
10
寂しさはお澄まし顔でフェークする幾度経てきたひとり歳末
16
海燕うみつばめさえずる声にきみがいた空と波とは灰白色はいはくしょく
17
のぞみかけ殺すものさえ信じるとぼくはあくまで人間ひとにすぎない
8
優しさが戦うことはツワモノも臆するだけの意志が込められ
7
キッチンで思惑のままかじりつく夏草色のゴールドキウイ
13
惨めさや不要領が堆積しこんな慈愛に変じたのかしら
11
表裏見せっこしても仮の恋少女と少女ピアニッシモで
9