美美庵
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最近、ある方の影響で、三十数年ぶりに、
詠みはじめてみました。
拙く、荒削りなものばかりですが、
一日一首を目標に頑張ってみます。
よろしくお願いいたします。

そのままでいいとそちらに寝返ったあなたのいない試練果てなく
8
可愛くて単純至極清らかでそうしたものを密かに愛でて
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穴ぞこで滅入る時期でもゆるゆるとアレグレットで力抜こうね
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秋日浴び世界ではなく一匹の蟻の動きを気にして見てる
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分断の斜面を共に堕ちてゆく知人と他人隔つ薄膜
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脱水の終わりし音を問答の無用の生の停止に重ね
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爪先で地球本体つまみ出すとてもほんとにちっちゃな星ね
9
十年後沈む夕陽の照りつける二色にしきの浜で待っているわね
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人間の波に揉まれてあなたって照れているでしょ 死なんばかりに
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堀炬燵ほりごたつ父の生家に香りあり母の生家の軋む木廊下きろうか
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往昔にキミは扉を開けたよね記憶に滲むジャン・クリストフ
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往来で無一物にて往く人をただ眺めおる私なのです
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是非を捨て髪をほどいて来なさいねジャングルジムのてっぺんまでね
7
せせらぎを見つめ幼き魂は無垢な夢尚いだき続けて
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次の世であなたの尊姿拝むのは金波銀波きんぱぎんぱの海辺でしょうね
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波濤はとう荒れ波飛沫なみしぶきつ岩頭に立ちしあなたの慈眼じがん目映まばゆ
7
海閉じて空を畳んで風を止め私も消える愛と一緒に
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もういいよ曇り雨気満つ宇宙そらもと絶滅蝶に安らぎ降りて
9
ルピナスのリボン施すハット持ち被り直す子またねと言いて
9
時間なら進み行くだけ力なら思い及ばぬ天より来たり
8
校庭の風と歓声その姿目にするだけで歓喜が湧いた
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信号の変わりて一斉歩きだすうちのひとりに私はすぎず
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遠慮の虜囚りょしゅうとなって漂えど背のばし出来る地を信じ
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背表紙が無力になりし哀しみをこらえて秋を抱きしめており
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晩秋の憂愁深しあの頃は自然神秘な蘇生があった
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ピリオドを告げし彼女の丑三うしみつの救護にならば真摯しんしになれた
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二組がいいと思いし人間の初の羨望グリーングリーン
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一括が好きな人種ね「誰も」とか「みんな」とかいうお手軽ワード 
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輝けき想い出たちとどん底の記憶を秘して人は歩めり
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蝶が来てしばし舞いつつ挨拶し翔んでいったと確信してる
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