美美庵
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最近、ある方の影響で、三十数年ぶりに、
詠みはじめてみました。
拙く、荒削りなものばかりですが、
一日一首を目標に頑張ってみます。
よろしくお願いいたします。

信号の変わりて一斉歩きだすうちのひとりに私はすぎず
15
遠慮の虜囚りょしゅうとなって漂えど背のばし出来る地を信じ
10
背表紙が無力になりし哀しみをこらえて秋を抱きしめており
14
晩秋の憂愁深しあの頃は自然神秘な蘇生があった
9
ピリオドを告げし彼女の丑三うしみつの救護にならば真摯しんしになれた
10
二組がいいと思いし人間の初の羨望グリーングリーン
7
一括が好きな人種ね「誰も」とか「みんな」とかいうお手軽ワード 
8
輝けき想い出たちとどん底の記憶を秘して人は歩めり
16
蝶が来てしばし舞いつつ挨拶し翔んでいったと確信してる
13
自己とただ向き合うだけの幾星霜いくせいそうそれは無限にくのだそうだ
11
碧空へきくうもとで植木を手直しす女性ひとの恋した少年のことなど想う
10
コーラルの海の航海綱解けばとうに私は人間ひとでなかった
9
太陽と空とわずかな静けさがあれば神なき世界是非無し
10
これがまあ終のエリアか極彩の表通りを眺めおりたり
15
荘重も華麗も要らず薄やみで彼女奏でるバガテル優し
6
街中にモーツァルトを響かせばメンクリ無しに人生けるやも
7
ひとりとは宇宙のはてに両の手を伸ばせは届くそのことなのだ
10
辻󠄀角に座りてスカートはためかせ寒いと言いし少女ら四人
8
何も無い人と伝えず伝われるそんな空気を望まずまといし
2
何か書くそぶりを見せる奥様も火宅と消える寂しきひとかも
4
銀の爪プラン変更説明す誇りと矜持きょうじこのに在りて
5
足早な冬にリア王思い出す孤影極まり老いの寒風さむかぜ
11
何事も過ぎ去ればただ幻と肝に銘じてラッシュ時の夜
10
真実の抜け殻だけが取り澄まし落ち葉揺らして秋の向こうへ
15
ホルダーでベビーをつれたママさんが多い席にて浮き立つ私
10
生々とかつての私其処此処そこここに未来の私彼処かしこに生きて
9
何も無い誰もいなくていいじゃないかつて例なき 生築くのよ
7
気の毒に衆愚と共に常におり描けなくなった絵描きさんよね
9
少年に先導されて元辿る踏み迷いしも嬉しい時間
8
濡れ光るいらかを覆う松が揺れ地上は人が行き交いはし
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