美美庵
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最近、ある方の影響で、三十数年ぶりに、
詠みはじめてみました。
拙く、荒削りなものばかりですが、
一日一首を目標に頑張ってみます。
よろしくお願いいたします。

袖口に蝶が止まりて時間止みまた音もなくひらとびたち
15
理由わけもなくえない男イエーツの面差し掠め消え去る午後に
8
堪忍土かんにんど目にすることが愛ならばそれはつまりは天使の派遣
6
歌はまだ歌われてない風だけが不用意なキミさらっていくわ
8
花びらのように浮かんだ優しさの波紋静かに今透き通る
12
騒然たるカフェの喧騒只中に独り居れればキミは詩人だ
11
知己のない街で安否の確認を頼みし遠く輝ける日々
9
記憶ある青い麦穂の踊る田にボクが見たのは愛の結晶
7
嗚咽して無垢であるだけアスファルト蹴り続けてた黒のローファー
11
キラキラのネイルチップの指さばき携帯ショップで命からがら
8
人波という名の波は寂しさも俄然つのりて行く手それぞれ
12
ねぎらいも意味も理屈もないドアがラストロードの果てに待ってる
8
虹がもう七色でなく瓦解する用意は出来ているのでしょうか
5
冬を待つキャリーケースに一杯の不思議と覚悟を詰め込んで
7
レンタルの私を遂に返すとき世界が無事でありますように
12
作られしもののなかにて地雷あり無言でしかないボクらの悲鳴
10
パステルのピンクの空にただ花である以外ない一輪の花
6
不器用と畏縮と狂気生真面目をミキサーかけて癒やしのスパイス
8
飄々と用なく友なく事もなく今日もふうわり白猫でした
9
もう一度きらめく風に纏われて自己と私の一致を見たい
9
人面の大岩を依然捉え得ず無をしめやかに締め殺す日々
9
細道の哀しみ同士舞う輪舞稀有な少女あなたはホワイトリリー
7
楽と嘘苦行と真理楽と嘘楽と嘘とはすいませんね
5
雨びしゃで心は呪詛に満ち満ちて矢弾のようなラッシュを縫いて
10
フェンス背に寂しげに待つ黄昏は息吹きかけるミトン手袋
13
無意味なる生よそに世は入れ代わり続いているわ
7
畦道を軽やかに跳ね帰校するK先生は淡い夕暮れ
13
石蕗つわぶきの立ち居そよぎは人よりも高雅な言葉発してるよう
16
アッというリアクションの子慎んでオーガニックの紅茶を注ぐ
8
対座するキミは私が行く星のつかいと知れて共に微笑す
13