美美庵
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最近、ある方の影響で、三十数年ぶりに、
詠みはじめてみました。
拙く、荒削りなものばかりですが、
一日一首を目標に頑張ってみます。
よろしくお願いいたします。

口悪く度胸座って姉御肌稀星きららという名の少女在りし
10
おにぎりとポテトサラダとコロッケでチャッチャッと済ますお一人夕餉
12
談笑の帰路窓窓の灯よそれは私にあらず虫の声聴く
8
カセットに生録し合いラジオ模しDJごっこ小六の冬
9
Fくんと視線が合えば精悍な顔でうなずく十歳とおのときめき
12
踏み切りを渡ったところの本屋さん買ってもらった最初の絵本
15
あきらめという鉄杖をついて今聖なる坂を独り登らん
9
巷間を縫って飛翔の痕跡も即時消去すムラサキツバメ
13
チェット吹くペットの音を聴きながらまだ生きている事実を思う
9
父母ちちははの成したる量を想い出せ卑小無力なわがまま娘
14
「駄目」と「良い」分かたなければ傷み無し目指す理想はそうした境地
6
そのままでいいのよという波飛沫燈色なみしぶきひいろきらめく母の呼び声
11
遠隔地異動なりてもアルバムの父の温顔桂浜にて
9
神秘とはかくも悲惨で痛ましき泥のうちよりいでる不思議よ
9
ベビー連れママの談笑見おるに記憶ばかりが遥かにかす
12
呆気ないサヨナラを言う儀式です今日も激しく萎縮してます
9
二十年死よりも深く眠りおり神と私はむくろであった
11
膝小僧流れる血みて逃げ出した悪の私におどけてみせた
9
身をかがめあそこが家と指さしたキミが誇れる 初友だった
12
草原よ夢もうつつも境無しそこに永遠グリーンガール
10
もし出来るとしたら私顧みず全て抱き寄せ愛で在りたい
8
生も死も叶わぬままに彷徨す少女の瞳いとも寂しき
14
割れ鏡見よ世界たちの逆に映るしかない正義の世界
10
外物の竜宮城は目に眩し心の砂漠焼け付くままに
9
一番に登校してた寂しい少女今は社長の令室となり
14
くれない永遠えいえんなどで催眠を解きはしないわキミはキミでしょ
8
葬儀社のワゴンに辞儀し見送りぬ母の八十九年 幕おろす
18
深更の医院の廊下滑走すストレッチャーと揺れる母の足指
19
カフェはもう詩人ボヘミア項垂うなだれて憂うつ記す場所には非ず
12
ただ此処に端座しおるに世の人の困惑するを途方に暮れて
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