まんまるだんご
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抗がん剤治療とリハビリ七年目Utakataに救われ

薄暗き五時に目覚ましけたたましい抗癌の朝妻におはよう
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点滴の続く夜にも満月の透き通る秋の光に浸る
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お休みの歌人の事情思はるる忠犬ハチ公お帰りを待つ \ Utakataで
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山陰の「二十世紀」はみずみずしい緑のしずく愁いの滲む
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姉追ってよちよち歩きのちょんまげさん「まって〜」と叫ぶ蝉しぐれふる \ 行った夏
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彗星の「アトラス」テレビで見る夕べ足の自由を願わず暮れる
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家路へのももいろの空夕暮れの育ちゆくかな上弦の月 
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おむすびをしみじみ食べる苦学生下宿の母の夜の差し入れ \ 追想
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受験生と作る熱気に氷雨降る家路にホカベン黙食の夜 \ 古老ふんばる
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秋風に枯れ葉まるまりカラコロと杖ののもと鳴きてころがる
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ラジオから五輪の歓喜おぼろげにコスモス咲いたひとり旅の日 \ 10\10 東京オリンピック
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闇の中毛布にくるまり氷雨の 秋桜ぶじや生命あらなむ
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ゲリラ雨は呪詛の響きや曼珠沙華 倒れし花の庭に秋風
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血の海の一年経ちぬ怒りだけ ガザ攻め指示のあなたの態度 \ 10/8アメリカに問う
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杖つきし我と会う人風になり見知らぬ人のおはよう陽のなか
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窓越しにゴッホのひまわり驚きぬ曼珠沙華の炎の踊る
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散歩道朝露光る草むらの虫のむらにて杖の音止まる
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雲を裂き青の浄土見えしはソーダ水飲み地をつき歩く
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恋情のマグマ吹き上げ曼珠沙華赤い炎は秋夜の花火
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「おかえり」と鴨に声かけ秋プール遠い空から十六羽来ぬ
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紫陽花のしおれし花に舞いおりる桜葉の「ラストダンスはわたしに」
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ごほうびの奮発ランチはサイゼリヤ若鶏ソテーでだるまになりぬ 
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実朝の哀しみ知ってや蕎麦の花 蝶の舞いきて秋風に揺れ
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実朝公さねともの御墓のそばに蕎麦の花 ゆれる白妙悲運を包む
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スタッフが小さく手を振り「またね」と言うわれもつられて手を振り照れる \ リハジム
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われ植えし南瓜帝国小庭占め実りてほっくり妻の腕が鳴る
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能登襲う地震豪雨も笑顔なる爺は嗚咽をぐっとこらえる
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濁流が十五歳を呑み込みぬ瓦礫を探す爺たたく雨 \ 能登
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「大の里」華々しき優勝で地獄の責め苦の能登の地ふるさと灯す
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カメムシの大軍おしよせ泣く農家「二十世紀」も涙あふるる 
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