まんまるだんご
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抗がん剤治療とリハビリ七年目Utakataに救われ

色白くスリムな君は二百円ダイコン漬けを諦め暮れる \ べったら漬け去年は太っちょ十本
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マッチ売りの少女を想い除夜の更くマッチの擦るにまぼろし灯る
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だいこんの蕩けるほどに煮込みたる仁王の顔の吾も蕩ける
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東雲の空は燃えるや朱の色に探せば月が細くやせおり
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年の瀬の「良いお年を」でほっとする予定はなくてめでたいお屠蘇
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妖精の機知のあふるるあなたなら魔女になりて病魔を溶かす \ おだいじに
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いつも会う人が見えねば意気しずむ見えるだけでも冬うららの日
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日が昇るのっぽの影の冬の道 指折り遊ぶぼっちの影絵
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イヴの灯の照らす海には雪のふる海路の日和を涙と待たむ \ 能登を想いて
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冬うらら下弦の月があわてずに師走を忘れ日向ぼこして
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病室の鏡に陽のさす冬至なり暗い虚像を包む春陽の \ 沈む歌人を想いて
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枯れ枝の向こうの空に欠けていく月がぴったり心にはまる
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がつくる亡母ははに習いし南瓜煮を家人はスルー一人食む冬
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生き返る萎れし紅葉もみじや逆光に清けき朝を深呼吸する 
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障がいの身になり想うやさしさを吾もならばや温き血の猫
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冬夜更く下宿に帰ればおむすびが温き思いを包み待ちおり
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ザラザラの心を溶かす暁の西の空には大きな満月
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讃美歌の流れに誘われ扉前ためらう子羊路頭に消えた
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破屋にも笑顔ほぐるる老婆あり訪ねおしゃべり菜園見つつ \ 地域のつながり
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国会で戒厳軍の銃口をつかんだ市民民主の星よ
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赤と黄の千両すーと瓶に活け清けさ守る公衆トイレ
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夏の日に木陰に誘いし大樹なるメタセコイア天に燃えたつ
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ゆく川の流れのままのUtakataに小さく弱いいのち見つめる
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がん転移生かされ六年難きにも歌詠み習う陽だまりの道 \ 小倉アナ旅立ちの日に
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ママいない爺と手つなぎ遊び場の手のかたちした紅葉を拾う \ 三歳
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アガペーを説いて創りし被団協ノーベル賞も師の目曇れり \ 故森滝市郎先生
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肩にのる落ち葉吹雪のひとひらのささやきを聞く冬日の道に
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汗·涙ツリーのイルミに煌めけり新東名の谷の工事場
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有終の美のあざやかに冬の朝 けやきともみじ寄り添いて燃ゆ
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今日の君茶髪に変えて雲雀なり飛び去る君の予感がよぎる
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