まんまるだんご
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抗がん剤治療とリハビリ七年目Utakataに救われ

波のれぬはぐれ鰯は漂いし 光る海あり夕凪を生く
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巡礼の旅へこっそりじじとばば あと追う孫の泣き声を背に
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花訪ね遥かな馬の背連なりし 断崖のわき癌の道行く
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キッチンのワイングラスにみつば生く 二本の細きフラミンゴ立つ
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ガンセンター涙を隠して待つ患者 窓の向こうの空を見ている
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うた詠むは楽しみなるも苦しみも 夜のしじまにうたの虫とぶ
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やわらかな雨のあがりて梅に客 白い輪の目のめじろせわしく
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古き雛飾りてひなとめぐる母 なわとぶ少女の輪のなかの春
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雛かざる母の手とまる 色冷めし顔に春の陽そそぐ
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「アベマリア」曲にあやされ寝入る夜 こころのブランコゆらりゆられて
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麻痺のこる足も夢みし友のある 奇跡うまれて肩くみあるく
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受験終え知らせを待つ日のながながし 不安のかすみ谷間に漂う
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ねむれぬよ しじまにうかぶ「うたかた」を すくいてみいるうたのさやけし
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シランまだ土をかぶりて夢みてる 赤紫の細き舞姫
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春の庭 梅に羽音はみつばちの 香りの漂うブンブン喫茶店
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整枝されおさげの髪のしだれ梅 三つ編みできぬつぽみの涙
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あっぱれか リザーブむかないとひとのいう 縁の下にも光る玉ある
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梅のはなひらりと舞い散る早き春 つぼみを残して風になりゆく
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北風に向かいて受験不安みつ 談笑しつつお守り握る
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雪化粧溶けてまだらの里山は 真白き富士の嶺うっとりみいる
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わがままな子にも快哉叫ぶ母 受験の季節 「サクラサク」届く
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風呂あがり衣服のなくて騒ぐ夢 待つ旧友は雪の道去る
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紅梅の花の香満ちる風に待つ めじろの来る日細枝ゆらし
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恋つなぐバレンタインは牢獄に 聖人の愛チョコと哀れむ
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朝まだき闇にひかりの「ハートに矢」がん治療の道ほのかに照らす
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闇の空「ハートに矢」のイルミ描く 谷間に愛の橋かけ急ぐ / 新東名の橋をかける難工事
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初雪にはしゃぐ子らの雪だるま 急ぎて溶けし泣き地蔵なり
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天にいる叔父にそっくり叔母のいう 一目も見ずにわれ叔父慕う
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能登の地はもっと寒かろつらかろう 長き氷柱に疲れの映る
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乱舞する雪の積もりし紅梅の ももいろ消して風すさびなく
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