のぎしり
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定形の日記なのだと思っています

寒くない風吹き割れた雨樋がどたばたと鳴る春陽はるひ注いで
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薄雲る鈍い朝日を背に受けて白鳥達は空の高みへ
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屋根の雪完全に消え薄雲る空へ白鳥上昇してく
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もうちょっと歌らしいのもこさえたいされど止まない露悪と愚痴と
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写真見て去年あたりはもうちょっと余裕あったとしみじみ思う
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なんでかと思う銭でも領土でも持ってる程に欲しがる理屈
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吹く風の刃鈍やいばにぶれば暖かいわけではないが春を感じて
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いつまでも逃げ回ってもいられぬがじきに追いつくまでは逃げよう切羽詰まればそれはその時
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お浄土はあると思えばあるものと知れば称える南無阿弥陀仏
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お彼岸と忘れていたが何もせぬわけもいかぬと称う念仏南無阿弥陀仏
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「ぱたから」を十回言って、母に言う「ぱたから」と「じゅっかい」といい
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除雪して転んだ膝がまだ痛い治らぬ傷の貯まる裕福
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悲しくもまた嫌われて漱石の落ち着き先は薬剤師の手
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何気なく買ったコーラのラベルにはおっとミャクミャク張り付いていた
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ぱたからは何故かパンダの宝物ご飯の前のおまじないだよ
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非難され虐げられはしないかとまた心配なユダヤの民よ
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中腹を照らす雲の切れ目より真白く残る雪が輝く
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哀れなり夏目漱石あんたもう弾き出される精算機かな
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悪いことせぬと思わせうそぶいて手なら抜くもの楽はするもの
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「残念なお知らせです」と介護士が「一人でカレー食べられてます」
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蛮行はゆるされませんほら見ろと北叟笑ほくそえんでた己は如何いかん
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雪消えて地面を見れば瑞々し草の芽も早背伸びしている
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寝たきりと言えばうちもと独り者母る野郎二人見つかり
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屋根の上身の丈程もあった雪いつか退き汚れたトタン
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久々に続編の出たシリーズにあれ誰何と記憶を浚う
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振り仰ぐ輝く白で気を裂いてV字崩さず滑りゆく鳥
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日が暮れて冷たい雨の降る空も急ぐ白鳥鳴き交わす声
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頭上ゆく声聞き思う早朝に見た黒い鳥あれは白鳥
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私の意見なんぞも何らかの足しになるかと言う「止めましょう」
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入り混じりとっ散らかって抗えずエントロピーの増すだけ屋敷
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