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感覚・空想・生活

生きていると隣にコトリと唐突な死が置かれることもある朝
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いざりがに熱かひなやむ青田面あおたのも/雪面に斬首されたる紅椿
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僕等みな褪せた大気のダイバーで漏れた頭蓋を締め付けている
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「ひとにはヒトの」と謂うので肝臓水解物も同じではないか
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犬を飼うきみと犬を喰う国から来たおれ、エコシステムの断絶
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銀幕と網膜のあわいに横たわる数億光年の暗闇
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年確に暫時ためらう程度には染み付いているインターネット
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おのれより死近きもので満たされる朝の整形外科の待合
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ループラインが半時止まる、社会の歯車が砂を噛んだので
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古今千年の歌集に焚きしめられたフェネチルアミンの薫
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現し身の安息角を見失い辺縁系より零れることば
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おまえの血が赤い限り過ぎゆくもの全て透明にはならない
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泡立たない石鹸のような感性を画面にぬりひろげる親指
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あしおとも絶叫も凡て溶かしこむ大深度地下のReverb
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使い方も解らぬまま煙る水平線にかざす六分儀
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箸袋たたむ娘に一抹のアーキタイプが刻まれている
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空の安酒を置き去りにする1Kの荒廃は雄弁に無言
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死ぬよりも生き損ねることのおそろしさに気付いてとうに成人
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接続された世界がスクリーン越しに再演する20世紀
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属人性で積み上げられた塔の上で屠殺業を営む
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既に結論は出ているタイプの愚痴を肴に干す三缶目
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園丁が生真面目なのでタンポポも首をすくめて群れ咲いている
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天幕のあたたかき夜を満たすのは蒼く遥けきテングリ𐱅𐰭𐰼𐰃の唄
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聲をもつポリゴンメッシュの影たちは海賊盤のペルソナを着る
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底冷えを照らす夜雨のSAを缶コーヒーで曇らせている
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五十年経てば津浪の映像も断り書きが消えるのだろう
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終末の秒読みもなくふんわりと人も巷も暮れ果ててゆく
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頬を撫ぜ溶けゆく雪のつめたさにきみは無言の讃美歌を聴く
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ふたとせに対角化さるる我が生は何処にも行かず何処にも行けず
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もう嘘でいいよと君は泣きながら夢より薄い紫菀を手折る
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