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感覚・空想・生活

暴力に勝れるものは数あってどいつも暴を従えている
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溶け落ちた常世の空を飛ぶ鳥の遁走先は遠い夕焼け
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俗人は象牙の塔に増長しゾロアスターに賊機をかたる
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旅先で悪夢を見るといつもよりまだ寝ていたい気持ちがつよい
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喫水にようやく潮は叶へども帆を立てるには強すぎる風
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早春の空を仰いだ杣人と村社の隅にそびえ立つ楠
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週明けには外したいから味のない流動食を喉に押し込む
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午後六時、午睡のあとの碁盤には五目前から誤算がひとつ
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鋼鉄と金剛石とコランダム製の骨董品を毀した
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革越しの私に骨をもたせかけ君は「新青年」を手に取る
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都市型の蝶々のようにあさ黒くよごれたままで帰郷する春
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お茶会に遅れそうなの良人おっとには大きな犀のお守りをさせて
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大型のオクシモロンに襲われて音楽祭に音声が消ゆ
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右あしの指のさきから遠浅の波音が呼ぶ妄想をする
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アイツから頼まれたので親父からウィンストンとライターをギる
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例題は「レンズ効果が連続する連星系を列挙しなさい」
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この朝とまだ見ぬ果ての風景が二本の鉄でつながっている
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目眩くメタファーたちの迷宮に冥王星をめじるしに往く
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ペガスス座、ペルセウス座の頁にはペンギンたちのペイントを描く
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山裾の花の盛るに耐へかねて峰のさきへと逃げる白雪
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紅殻をべたりと付けたベテランはベサメ・ムーチョを別室で聴く
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塀越しの兵士に宛てた返報は平和の空をヘリウムと飛ぶ
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寝静まるネオンが照らす猫二匹ねじれた街は熱帯のよう
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金色の誰かの明日を背負いこんで今日もあなたは輝いている
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出来合いの泥土でつくるデザインはでたらめだけが出尽くしている
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海と山、空をひとめに収めたら二人で行ける思い出の場所
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鉄製の手指を組んだ天才はテクトニクスを提唱しない
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干支ひとつよりも大きな後悔をこちらの生で思い知らせろ
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善悪のぜんぶを溶かす前夜祭贅を尽くした前奏曲を
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可視光の外では眩しすぎる星を天文台でこっそり覗く
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