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感覚・空想・生活

枕元まぶたの落ちぬまろうどはまれびとたちの舞う夢を見ず
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パッと咲きパッと散りゆくパステルをパラソル越しにパノラマにする
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寅さんのような革張り鞄ひとつ使われぬまま戸棚の底に
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万国の伴天連たちは縛につき陪審員に罵倒を投げる
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ずぶ濡れでズラリと並ぶ随従に厨子のほとけは瑞照を呼ぶ
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「どうしても?」「どうしてもよ」で諦めた反動がいまぶり返している
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灰色の波濤をすすむ白皙の遥か後ろはハルシネーション
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たましひの助かる術は胎動の妙なる音に対峙するのみ
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苗床になれ果ててなお涙だけ流れて落ちる名無しの眼
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検索性ばかり優先されていてたまの出会いはタブレットにない
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ひとさらに南アジアと欧州と豐葦原瑞穂国が
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駄目押しに唾腺のゆるむだくだくの出汁が染み入る大根の味
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団交で向かい合う日の上役は硬い組織の貌をしている
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レーダーにうつらないざざ降りの雨きみを足留めさせる言い訳
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戯れに企んでいたたわごとを手向けの花に焚きしめている
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非破壊の検査・構造解析は破断しかけの二人に不要
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罪人は柘榴のしたで座して待つ残夏を覆うざざ降りの雨
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Al3+で変わる花の色と花火の色は禁句だろうか
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歳月をさらう流れに棹さして逆らう君はさびしからずや
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刃を持って渡せるようになったのはさんざんキミを叱った証拠
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ガラス越し蝦蟇いっぴきはがらがらと画布のすみから凱歌をあげる
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風逸る交わした袖の香をもとめ唐紅の川向こうへと
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怒られて懲りた顔だけ巧くなり今日もわずかに大人びてゆく
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ケーキを切れなくても今日はやってきて3000円をまたツケていく
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汗くさい朝のしとねはありふれた愛のかたちを彩なしている
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ンブシーを取り分けたしわしわの手に今日はカジマヤーを持たせる
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をちかたををろがむ人のをごめいて烏滸をこなる友ををこつりて去る
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路傍にてロマンチシズムを朗々と論ずるための呂律が回る
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夜を越して酔いどれるまま世をわたり預言者たちは予想をはずす
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もう二度と靄のさきには戻れない木造橋は燃やされている
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