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感覚・空想・生活

人知れず大気はうごき閉ざされた原野のかたち確かめてゆく
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密やかに結晶はのび不可算のきらめく針をはらむ晶洞
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託宣は外れると思う歯車は閏秒から歩みをずらす
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どんな日も石碑のように立ち尽くしなにかの罰を巨像は背負う
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恒星のまばゆい死期を焼け残る遺骨としての純鉄の核
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夜明け前蛇口をひねりその都市の経絡となるダクタイル管
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ふぁぼなんてもう古語となり×ペケ型の墓標に青い鳥は眠れる
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楽だったシフト上がりのイヤホンは凱歌をヘビーローテーションで
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星空を見るヒマもない僕たちに深宇宙から疑問がとどく
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紅葉の風は俄かに吹きだまり跳べとごとくにうづたかくなる
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彫像の直視をうける蝶きっと頂上までの長距離をゆく
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サボテンを枯らし駱駝をたおす熱アトモスフィアは灼き付いている
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ちゅら海の中核にある中宮に仲夏をひらく昼光の射す
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融け落ちる瀝青のうへ黒揚羽舞ふ雑踏のいづくにか花
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遠花火多くのifを織り込んでこの眼にうつる鮮やかさのみ
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夏も暮れまだ飛び立たぬ雛燕ぼくらは時季をのがしつづける
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夏の日の物陰強くきわだちて街は神秘と憂鬱のなか
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ささやかな神殿となるキッチンで母はひとりの神職となる
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みんな死ぬ死ぬがせいぜいとりどりの死まで生きよと願う教室
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母と子をかかえ一つの要塞のごとく電動自転車駆ける
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弧を描く白球放つ若虎よ向こうの空に球宴はある
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ぼくという連続性をヒュプノスが断ち切るところ見れぬまま朝
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限りなく透明になり体温と交換させるポカリスエット
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茶の湯炭に着想を得て着火した薄墨チャコールの浮く白磁チャイナのうつわ
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ヴラドツェペシュの末裔はこんなにも月を緋色に染めただろうか
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ユニークな裂帛をする先輩にいちども勝てぬまま受験生
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AIを介さなくても外つ国の少女が放つ怒りはわかる
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バーニアは砕けもはやエーテルもぼくらの声を媒介しない
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水盤にわたしの息はしみ通りわたしだけ知る模様をつくる
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舌さきが半歩進んで歯の裏で調音されるきみのイニシャル
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