刺草キロ
64
53
投稿数
1575

シニアスタッフの営業マンです。同性同世代の歌に特に反応してしまいます。また、にわか相撲ファンです。

桜去り主役不在の街路樹に 颯爽あらわるハナミズキ嬢
21
鬱蒼と葉桜覆うあの道は 毛虫が落ちる予感でゾワリ
12
冬背広 重く感じた午後四時の 陽射しを受けて歩幅せばまり
15
「受け取って」ティッシュを配る青年を みな目を伏せて避けて通る夜
12
大阪の友人と呑む楽しみの ついでに回るか大屋根リング
16
小国のパビリオンだけ回ろうか それならきっと旅行気分も
11
宿押さえせっかく行く気になったのに 酷評噴出 万博どうしよ
14
苦しげに咳をするひと気の毒な でもマスクせよ電車の中だ
16
一年中こんな朝ならよかろうに 青天無風少しひんやり
19
まるまるの日記の文字でそれと知る この日したたか俺は呑んだな
14
色(物質)のみを空というのは切取りで 受想行識(精神)も亦た空(五蘊皆空)
7
しんしんと森全体が鳴くような 今ぞ羽化時 ハルゼミの春(ユニシロさん、羨ましい)
13
似ているね なにも関係ないはずの あったら怖い躑躅と髑髏
12
つつじより少し地味なるさつき花 堅気娘の矜持保てり
17
保護者などいないと気がついた あの四月から「自由」は秒を刻んだ
10
おぼろとは限らぬものよ春の月 けふこの夜には冴え冴えとして
19
深海の光を集め茹でられて ほたるのいかは噛まれてはじけ
16
釜揚げの ぷっとふくれた蛍烏賊 噛みはじけるは深海みうみの香り(改)
9
ぬか床が人肌ほどに温もりて 季節の進む兆しをで知る
29
留守番のご褒美ほおばるうちの亀 彼の好物シャケのお刺身
16
生命を省エネモードに切り替えて 亀は黙って留守居をはたし
17
飼い主が所用で五日家を空け 亀は留守番なにも食べずに
13
担いだり前抱きしたり降ろしたり 意外に不便なリュックのかばん
22
この春も咲き散り終へし桜木に 名残惜しむや残花一輪
17
川風に身をふるわせて花は散り 芽吹く翠に座をあけわたし
20
葉桜は興ざめなりと人の言ふ そはそれなりの見方ありなむ
13
山笑ふ はにかむ娘の歯のような 華やぎ控えめ山こぶしかな
15
甲烏賊の薄身ほどけて海に溶け 紡錘形の骨は波間に
8
氷見の浜 打ち上げられし芥にも 白々光る甲烏賊の骨
12
花咲くも氷見の日暮れは風冷えて 指の骨まで腋に包みつ
16