月夜ぼたん
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ただ歌を詠むことが好きなおばあちゃんです。よろしくお願いします。

今共に 歌詠む人のいる奇跡 知らない方が近く思えて
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あなたならわかってくれるチョコ色の 私の奥の「あれ」のことさえ
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年末の掃除そこそこ済ませたし 春は遠いし も少し冬眠
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人生の三大失敗言えるほど 親しくはない まだどなたとも
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星空の故人ひと思う時 我のこと 見えたら小さい合図ください
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午前四時まだ寝てていいこの時間 自由の色は少し灰色
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朝八時 頭痛のお陰でまだベッド やるべきことが今は目覚まし
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日常が続く幸せ 日常が続く悲しみテレビ教える
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デコポンを二つに割りて「どっちする?」年金夫婦の小さな贅沢
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会えぬ間の 一秒ごとに成長の 孫の眼の光を愛す
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 美しさとは新緑の中にいて 風切り走る人の筋肉
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今日だけはノープランの日真っ白な 時間の前の不思議な緊張
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偶然に会うこともあるあの人に アイシャドーの茶 少し濃く塗る
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風の中 小さな春の 希望あり 能登はあちらか 希望よ飛べよ 
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「糸」を弾く手はしわしわのぎこちなさ 縦横の糸 絡まりており
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日帰りの露天風呂には 二羽の小鳥とり赤い実食べて付かず離れず
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母作る漬け物の蕪しゃきしゃきと 口のなかには真冬住んでる 
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雪道に車の音は吸い込まれ 心臓の音だけの運転
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震災の度に流れる涙あり 全部ためたら池の溢れし
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六歳の薄紫のランドセル 希望と不安そして教科書
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結婚をしたくない女性 ひと清らかな まつ毛に小さな孤独が積もる
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除雪車の動く音する午前四時 被災地もまた 白の世界か
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夜九時の仕事帰りの食卓に 我待つようにサラダ巻き五個
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鰻丼のお子さま仕様注文す 少し軽めの器の美味しさ
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蒲焼きを一緒に食べた記憶さえ あれば仲良くなれる気がした
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オリオン座主役の空の三日月の 我によく似たへそ曲がりかな
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雪の日にした約束は守るべし 雪解けるに 自分と指切り
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森の中貸別荘でバーベキュー  約束の日に 我古稀になる
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一日のほとんどテレビと生きている 百年生きた伯母の親友
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車椅子伯母乗せ押す手 軽すぎて  その軽さまで悲しい病院
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