月夜ぼたん
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ただ歌を詠むことが好きなおばあちゃんです。よろしくお願いします。

デコポンを二つに割りて「どっちする?」年金夫婦の小さな贅沢
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会えぬ間の 一秒ごとに成長の 孫の眼の光を愛す
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 美しさとは新緑の中にいて 風切り走る人の筋肉
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今日だけはノープランの日真っ白な 時間の前の不思議な緊張
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偶然に会うこともあるあの人に アイシャドーの茶 少し濃く塗る
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風の中 小さな春の 希望あり 能登はあちらか 希望よ飛べよ 
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「糸」を弾く手はしわしわのぎこちなさ 縦横の糸 絡まりており
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日帰りの露天風呂には 二羽の小鳥とり赤い実食べて付かず離れず
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母作る漬け物の蕪しゃきしゃきと 口のなかには真冬住んでる 
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雪道に車の音は吸い込まれ 心臓の音だけの運転
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震災の度に流れる涙あり 全部ためたら池の溢れし
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六歳の薄紫のランドセル 希望と不安そして教科書
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結婚をしたくない女性 ひと清らかな まつ毛に小さな孤独が積もる
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除雪車の動く音する午前四時 被災地もまた 白の世界か
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夜九時の仕事帰りの食卓に 我待つようにサラダ巻き五個
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鰻丼のお子さま仕様注文す 少し軽めの器の美味しさ
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蒲焼きを一緒に食べた記憶さえ あれば仲良くなれる気がした
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オリオン座主役の空の三日月の 我によく似たへそ曲がりかな
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雪の日にした約束は守るべし 雪解けるに 自分と指切り
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森の中貸別荘でバーベキュー  約束の日に 我古稀になる
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一日のほとんどテレビと生きている 百年生きた伯母の親友
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車椅子伯母乗せ押す手 軽すぎて  その軽さまで悲しい病院
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空き缶の二つ三つあり テーブルに 四人の宴会 品行方正
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百歳を越えた肉体 医師に見せ 伯母は少女の顔になりたる
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友といて老いの恐れの薄まりて 「またね」の笑顔 胸にとどまる
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時間経ち 害や罪知る コロナ禍の 影響と言う名の黒いもの
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生きる意味わからないけど生きている 今日もエアコン予約煖房
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楽しさが立ち上がり来る友といて 満たされていく心の砂漠
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節約を「しよう」ではなく「しなければ」愛しく思ふ落ちてる一円 
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熊に鹿 眠るあの山 目覚ましは まだまだ遠い春の光か
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