恵雪
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ほぼほぼ日記。
ぼちぼち、ゆるゆる。

終戦の日を 知らぬと言った 義弟おとうとに ただ驚いた 三十年前
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凄まじき 速さで流る 低層の 雲美しく 飽かず眺める
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雨音を 聞きつつまったり過ごす夕 大音量アラートに飛び跳ね
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重厚な雲と 風の質感が 野分近しと告げるあした
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玄関前 カブトムシの足 絡まった ゴミそっと取り 強く生きよと
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盆休み 帰省せし息子らと共に 秋の墓参ツアーを計画
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満席の飛行機恨めし 息子らは 祖母を見送ること叶わず
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桃色の 小壷に納めし ひとかけらの 母と一緒に 長旅を終え
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七日ぶり エアポートの空は すでに秋色纏い 我を見送る
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健やかなる時も 病める時も 私には君が必要と知る
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何事も 無かったように 朝が来て 元気に おはよう と言ってみた
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ありがとう ごめんね その繰り返し 聞き飽きた? でもそれしか言えない
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しっかりと 娘二人に看取らせて プロデュース力 さすがと泣き笑い
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晴れた朝 窓には雨露纏ふ緑 母は天に召され給ひぬ
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「お母さん」 呼びつつ額 撫で居れば 我に応えしか ゆるりまばたき
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妹の車 自動で暖房る 十勝の街は 肌寒の雨
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砂時計の砂よ 止めること出来ぬなら せめてゆっくりゆっくり落ちよ
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灰色の 雲間から差す の先に 神様が居ると 信じていた頃
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妹から写メが届く 幼き日 裏庭でんだ 甘酸あますい グスベリ
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週末のご褒美 本物ビール買う ひと缶だけの プチプチ贅沢
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溜め込んだ カッターシャツの アイロンがけ こまめにやれよと 毎週反省
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夏来れば 名前に涼を求むよに 冬瓜とうがん炊いて 枝豆添える
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意を決し 全部屋エアコン 稼動させ 罪悪感で 掃除はかど
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空よりの 使者かと見紛みまがう 水色の トンボと一緒に 羽を休める
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回り道 神社のもりから 涼風すずかぜ流る 土と緑の 恩恵なりや
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ロリィタの 服纏ひたる 老女居て 汝は汝と 云はれし気のする
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行間に 隠れた思い 汲み取った 友からの返信は優しい
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心の底 積もるおりを 流すような 雨をひたすら 待ち侘びている
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夏の浴び どやっ! 誇らしげに ぐんぐんと 枝葉を伸ばす レモンたくま
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失敗も挫折も 必ず糧となる 息子らに教わりつつ われも育ち
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