ココニャン
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北海道ニッカウイスキー「まっさんの」試飲惜しみて土産が重し
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灯りつく小樽運河を見下ろして息子より賜いし「金婚」へ宿
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木漏れ日の「三浦文学」記念館 綾子の椅子で光世を偲ぶ
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黒土に湯気立ち上る十勝野へ 歌人時田が歌の種撒く
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老い姉妹「次も合おう」と涙のハグ口約束のむなしい別れ
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船内の露天風呂より日本海眺むる先に故郷が待つ
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里帰り おとないくれし級友ともたちと角の取れたる語らいやまず
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雪残るポロシリを背に広がりぬ時田農場哥の種芽吹く
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この土地に嫁ぎ来すでに五十年故郷さとが旅先いつからだろう
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ごま塩の塩多くなりし頭髪を「お安くします」と染めくれし夫
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あの橋が出来たら消える木曽川の「中野の渡し」風柔らかし
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孫ら去り静かになった食卓に残り物食む二人無口で
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布団干し窓開け放つ五月晴れ子らの帰省にあれこれせわ
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切り返すトラクター追いカラス二羽 並び後追う園児のごとく
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エンドウの濃き緑食めばサクサクと青臭さ残る夕餉の小鉢
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ドジャースの試合に合わせ目が覚めるこんな時間が吾に来るとは
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母の言う「猫かわいがり」との教え あの日の孫はまもなく五十
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背を出してバシャバシャ登る鮒の群れ用水畦でカラスが待つ
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スカイブルー快音響く大谷の「試合はやはりLIVEでしょう」
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満開の桃の花指し成る不思議孫の疑問はなぜなぜ続く
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色褪せた漫画の並ぶ息子の部屋へ孫来るを待ちカーテン開ける
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つくしく指先染めて老い二人雨音続くすごもりのとき
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皺とシミてんこ盛りにし鏡の中口角あげて諦めをつける
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セピア色麻疹の記載母子手帳五十手前の息子の記録
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庭に咲く切り花抱え墓参り荒れ吹く風がマッチを吹き消す
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春の鬱吾の駄作哥にバツをつけため息深く行き止まりなり
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ミツバチはイヌノフグリの花びらにしがみつくよに蜜を求めて
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散り初むる河津桜の木の合間覚えあるひと手を振り笑まう
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食卓の摘み菜の緑冴え冴えし畑に残さる黄花も笑まう
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リメイクの作務衣友より贈られてピッタリ身体に添い少し悔しい
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