ココニャン
11
69
投稿数
362
葉の茂る柿の木の下紫陽花は数多あまたの蕾で梅雨どきをまつ
15
いつ誰に教わったのか老猫よそんな上手に甘える術をすべ
13
獣医さん猫の名前をちゃん付けで呼ばれるたびに吾が答える
12
なにかしらからだ動かぬこの頃は一歩ためらうやりたきことの
8
左からくちなわ様がくねくねと前を横切り田圃に消えた
5
夫はまた夜が開けぬ間に起き出して畑に向かい日の出を急かす
8
六度目のワクチン予約取り消しと医師の体調不良の知らせが
4
雨の音聞きつつ眠りにつかんとす明日の予報も雨になるらし
7
集まりの主役の友は三回忌墓前に香煙ゆらゆらのぼる
6
膝にのる愚かな猫のあたまなでお前はいいなあ われ関せずと
5
老猫の頭を幾度も撫でながら先に逝くなと言い聞かせおり
18
地図覗く白髪混じりの頭よせ三人の息子誰が誰やら
12
久々に集いし家族はそれぞれにスマホとゲームの世界に篭もる
8
帰る日の子らの家族を見送りて洗濯物を機に放り込む
13
腕の中見上げる幼き子のまなこドキッとするほど透き通りたり
17
整えた小さき公園そばに建つ廃屋となれり老人施設
5
布団干し窓開け放す五月晴れ子等の帰省を待つ母として
21
ラベンダーに羽音も高くせわしなく働きバチはただひたすらに
6
引き込まれて水田に泳ぐ小魚を首を丸めて白鷺狙う
6
花水木桜の花とみまがうも散りどきひそかに気づかれもせず
9
振り返り吾を確かめて先をゆく従い続く猫の細道
9
水面みなもより羽音激しく二羽の鴨寝ぐら目指すか待つ子がおるや
3
形見分の義母ははの「でんち」を食卓の椅子の背にかけ小祥忌まで
3
豚汁を温め直す食卓にミシュランアプリ登場のニュース
3
久に来た息子に懐く老猫は匂い確かめ膝におさまる
15
「元気だね」「そうでもないよ」交わしあう朝の散歩のそうでもない我
8
久しぶり日頃の憂さを持ち寄りて笑いに変える老い盛りなり
6
得意げに下げ帰り来る夫の手にサヤエンドウの初なりの香り
9
古希すぎてなおなお慣れぬ生きること微睡む猫に教えを賜う
10
桜草、ジャーマンアイリス、チューリップ、エビネ、紫蘭をみ墓に供え
6