プー子
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投稿数
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足元でカサッと崩れる音のして霜柱踏む冬の入り口
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時雨しぐるるやこの秋初の寒気らし暖房オン・オフ老い二人いて
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一票を400万円との試算あり投票率の低さの損失
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何事にも感謝を告げぬ昭和人しつけせぬまま半世紀過ぎ
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立ち枯れた花々夫が刈り終えて寂しさの増す小さな花壇
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いち早く知っても朝のニュースでも結果は同じ長々と風呂
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早々と釣果を提げてリクエスト夕餉の膳の石狩鍋を
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迫力とユーモア見せる「かあさん」の赤いドレスのスコップ三味線
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秋陽浴び緑肥ひまわり花盛り使命を知るや幾日後かの
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雪便り遠近おちこちにあり遠ざかる猛暑の日々の寝苦しさなど
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ふいに来る稚内から雪だより律儀に北の果てからの冬
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ハンドルを握る私に「見よ」といい苅田の白鳥姉は指差す
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ひとときを空を眺めて静かなり媼三人みたりの富良野の満月
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紅葉の峠をいくつ越えていく姉の住む街一年がぶり
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赤々と花の残れるダリア掘る明日の気温は0度の予報
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軽快にミシンはかどる秋の午後次のランチに間に合うように
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手のひらに触れる僅かな凹凸を命と認め取り出す筋子はららご
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療養の兄のなづきに住むはだれ末妹の吾の名は呼ばず
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咲き残るサルビアに舞う白蝶に恋の相手はもう顕れぬ
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掘り起こすグラジオラスの大き根 を「来年会おう」とそおっとしまう
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収穫の最後と届くピーマンの不揃いながら蒼き香のたつ
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ナナカマド枝もたわわの実をつけて日毎色づきふと足を止め
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新聞を取ることもせぬ夫なれどこの秋最初のストーブ付ける
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秋晴れの庭に飛び交う雪虫のDNAの狂うことなく
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オーロラをも一度見たいと目指す北 あれはいくつの夜だったのか
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根詰めて挑む「滲み画」なかなかに思いに任せぬ難題なりて
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友からの愚痴の電話を終えた後夜長の秋にトマトジャム煮る
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正確な目覚ましに起きスイッチオンこの秋初の新米を炊く
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待ちかねた友とのランチ笑い声時折あがり話題は尽きず
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雑草の中から次々立ち上がりコルチカム咲く廃屋の庭
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