プー子
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たびたびの霰を降らす曇天へ居心地悪きランチのチェアー
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朝食の窓辺に大きぼたん雪春を報せるそらからの文
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緻密なる鮭の耳石の刻む波知りし後にも切り身をつつく
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残雪は尺余の花壇ゆき解けを促す風雨今少しあれ
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氷点下十度を超えて三月の終わりが見えても春は見えずに
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海明の毛がにどっかり鎮座して値札小さく四九八十円ヨンキュッパー
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どれ程の努力の末か快挙成す「尊富士」とう若武者の汗
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カーテンを開ける刹那の青空を鳴き交わしつつ白鳥過ぎる
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彼岸会の父母の姿を求めつつ手向ける香と姉の牡丹餅
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大木の包容力か雪原に数えきれない宿り木抱え
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悲しみと無念のただ中夫送り遺影にま向かう友を想う夜
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問いかけに酷く短い生返事五十年経て変わることなく
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暮れ時のちらほら舞い来るなごり雪諦めの悪い君のようだよ
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彼岸荒れ空に残りし雪の嵩如何ほどなりや風を伴い
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彼岸入り昨日きぞの売り場に〈牡丹餅〉の多く並びし光景なども
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隣街訪えば積雪0と聞き 尺余の雪積む町へと帰る
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センセイはなべて〈知らない〉金もらい庶民は知らずに税あげられる
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地に届く刹那に消えゆく淡雪の春の証も天からの文
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啓蟄の一週間過ぐ今朝の事初登場のワラジのそのそ
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まっさらの布に型紙並べ終え息を整えハサミを入れる
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毎年の弥生の歌会は挽歌にて章子を詠う涙交えて
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巡り来る三度目の月「この会の後を頼む」と短いライン置き逝く章子
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幽世へ行きて戻らぬ義兄の日々五十日祭の忍び手捧ぐ
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ひねもすを春の気配をさがしつつ冷え著き夜に豚汁すする
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待ちわびた日向の匂いのバスタオルこの春初めて抱えこむ午後
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春を探しに出かけてみよう いつもより歩いた先にトランプが来る
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春の陽に霧氷散る散る峠道 免許更新ふた山超えて
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青空にネコヤナギの銀よく映えて一枝手折る確かな春を
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「来ましたよ」証拠の足跡雪に置きいつものキツネかいつもの方に
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幾年も陽の目を見ずの十五体今年もひいなの日の巡りきて
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