プー子
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緑陰に冴え冴えと咲くハシドイの雪積むごとく遠目にも見ゆ
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打ち上がる花火は祭りを知らすらしいつもと変わらぬ夕餉の頃に
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あれこれと品定めして包丁をレジかごへ入れ犯罪者めく
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万緑の山迫り来る窓辺には遠く近くに野鳥囀る
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起きがけと就寝前に飲む白湯とオートミールでスリム化謀る
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夏の日の訪う人もなき鎖塚百余年後を車が行き交う
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地蔵尊の護り続ける土まんじゅう鎖塚碑の静謐な夏
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目の端にはるか山並望む地に指を折りつつ散策続く
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大型のダンプは速度を上げてくる丈高く伸ぶ夏草揺らし
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ささやかに年金支給日楽しまん常よりひと品足して夕餉を
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さきがけて熟する小さき苺の実摘み来る夫の節くれた指
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手仕事を邪魔されたって許しちゃう19,20号のホームランには
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日中の暑さが残る室内に陽射しの匂いを纏いしふとん
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ワタスゲの揺るる湿原恋しかり熊も見ようぞ吾の思い出を
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粛々とワクチン投与の進められ床の矢印帰宅を占めさん
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夫の手で掃除の済みし浴室にシャワー浴む日の来し五十年目
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雷と強き雨音やり過ごし何もなかったような夕食
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駆除を止め里へ下りれば害獣と言われる熊の言い分如何に
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のんびりと防災無線の読み上げる﹁熊が出ました﹂10分圏内
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ふた月も未練がましく引き摺りてよみんの部屋の陽当たりの良さ
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幾日も待ちわびし雨降るらしい窓辺のベッドに雨音を聞く
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ようやくに迷路の秘密を見つけ出し約束時間も過ぎしと気付く
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たどたどと進むる筆先震えがち高齢生徒の午後の手習い
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飛翔体大好物の隣国の将軍さまは目立ちたがりで
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もてあます時間に夫の持ち帰るワラビ、山ウド下処理済ます
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共存は夢のまた夢出没の羆の気持ちは伺い知れず
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霜にあいしワラビ食む日は三十℃夏の傍には時折の冬
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名も知らぬ花をスマホは言い当てるズダヤクシュとうを夫の手折り来
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早蕨の黒き頭は霜やけか初夏の寒気を侮るなかれ
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息災を尋ねるためにする電話米寿の友の声の明るく
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