プー子
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秋風がようやく吹いて隣家の爺の馬鈴薯いもなど掘りおこしやる
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少しだけ秋風感じる夕暮れは二百十日の翌日のこと
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農道へふいに飛び出すエゾリスの大き尾ゆらし草むらへ入る
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別れ告げ都市間バスに乗る友と再開約し八月を終え
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隣家の屋根に乗っかる大き月明日は帰京の友と眺むる
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後になり先になりして漕ぐペダル魚付林まで老いの休日
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幾千の石器の居並ぶジオパークいかな歴史を見てきたものか
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ひんやりとあぁ夏が行く都心から来た友達へ僅かなはなむけ
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泡立草ぐらり揺らして行くダンプ大型バイク二台従え
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罪深い無色無臭の処理水は今日からじわじわ海へ広がる
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あっさりとOSOの最期が報じられ令和の伝説語り告がれん
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午後十時ようよう入り来る涼風と虫の音求め窓辺のベッド
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明日のため資源のゴミを出し終えて一度きりの外出でした
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風流ととても言えない姦しさ虫の合唱深夜に及ぶ
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窓の辺の虫の音そして涼風を兄も聞かんやかの病室で
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奥津城の父母へと供える花束の思い出の紅 天竺牡丹
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酷暑さ中別れも告げず逝きし兄 同胞・縁者に会えただろうか
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戦争を知らぬ世代も敗戦を負うとう不思議 終戦記念日
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湖までの丘一面の蕎麦の花豊穣の秋間近きと知る
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サロマ湖を見下ろす丘の一帯を真白く覆い蕎麦の花咲く
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ガソリンの高値に負けて窓を開け峠をゆけば蝉しぐれ降る
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忠実な無人の部屋の除湿機の僅かな音は無色の羽虫
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兄の死を受け入れきれぬ甘ったれ盆の生花を明日は選ばん
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めつきりと気温の下がる三日目はたっぷり野菜のポトフの出番
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自己顕示いよいよ強し台風のオホーツクへも雨は三日目
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探してる亡吾子に会えない蓮池に飽かず飛び交うオニヤンマとも
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ひとり来て蓮の花群れ廻りても明るき真昼に吾子には会えず
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不意に来る逢魔が刻の淋しさに大口あけて飯を頬張る
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昨日の昼寝今朝の寝坊怠惰に始まる葉月快晴
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次に咲く蕾に吾子のいるようで蓮池に聞く風のララバイ
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